次世代フラッシュメモリーのファブレスベンチャー、(株)GENUSION(兵庫県尼崎市道意町7-1-3、Tel.06-6416-6133)は、独自開発の「B4-Flashメモリー」を搭載したUSBメモリー「CE-File Memory」を開発し、8月から量産を開始した。完全データ消去が可能な特徴をPRし、B4-Flashメモリーの用途拡大につなげたい考えだ。代表取締役社長の中島盛義氏に話を聞いた。
―― 完全データ消去が可能とはどういうことか。
中島 現在情報記憶媒体として広く用いられているNANDフラッシュを搭載したUSBメモリーやSSDなどでは、データを完全に消去することはできない。NANDは書き換え信頼性が低いため、管理部を変更して「見かけの消去」を行う方式を採っている。このため、消去したはずのデータは実際には消えておらず、市販の復元ソフトで容易に復元できる。これでは紛失時や廃棄時にデータ漏洩のリスクがある。
一方、当社のB4-FlashはNOR型ベースのため書き換え信頼性が高く、かつ書き込み速度に優れている。これにより、1ファイルごとのデータ完全消去を実現できる。
製品化したCE-File Memoryは、取り外した後にあらかじめ指定した時間が経過すると、データを自動で消去する機能を搭載している。これにより重要なデータの消し忘れによる漏洩リスクを軽減できる。また、ハードウエアAES256bit暗号を標準搭載し、データ保全性を高めている。高度なデータ保全が要求される法律事務所、会計事務所などの法人向けに展開を始めており、普及拡大を進めたい考えだ。
―― 今後のラインアップ拡充について。
中島 まず512Mバイト品を製品化したが、2013年内に1.5世代品として同サイズの1Gバイト品および、サイズを小型化した容量128Mバイト~のタイプを製品化する。14年初頭には最大4Gバイトの第2世代品の製品化を予定している。この第2世代品ではコントローラーを変更し、SSDに対応できるようにする。将来的にはSSDのほか組み込み用途やウェアラブルデバイスへの展開も視野に入れており、14年後半~15年初頭にかけてエンタープライズ向けを製品化する予定だ。
(聞き手・本紙編集部)
(以下、本紙2013年10月30日号3面)