ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(株)(熊本県菊陽町)は、「ソニー半導体」の設計・開発・製造・カスタマーサービスを一手に取り扱うカンパニーである。生産拠点となるテクノロジーセンター(TEC)は熊本、鹿児島、長崎、大分、白石蔵王、山形の6カ所を擁している。同社の代表取締役社長である山口宜洋氏に、主力のCMOSイメージセンサーの開発の方向性、生産強化などについて伺った。
―― 売り上げは2兆円に迫る勢いですね。
山口 売上高全体でいえば、2025年度は1兆9900億円の見込みで、24年度の1兆7990億円に対し、10.6%の伸びとなりそうであり、まずは順調にきていると思う。また営業利益も24年度の2611億円に対し、25年度は3100億円と増益の見込みだ。
―― 順調であった主因は。
山口 ソニーの主力となるモバイル向けCMOSイメージセンサーが全体的に良かった。また、スマートフォンなどのモバイル向けについては、センサーサイズの大型化など高付加価値化が進んだことで単価が上がってきた。
―― 車載向けのセンサーの将来予測は。
山口 自動運転技術の進展に伴い、センサーの搭載数が増え、30年度の車載カメラ市場は19年度比で7倍以上の拡大が見込まれている。1台により多くのCMOSイメージセンサーが搭載されることになる。ソニーは、カスタマーである自動車メーカーの経営および技術戦略や各地域の車載に対する規制動向などを注意深く見据え、技術開発を進めていく。グローバルトップOEM20社のうち、85%との取引をすでに実現しており、26年に向けてさらに拡大する見込みである。
―― セキュリティーカメラ向けについては。
山口 モバイル向けなどで培ったセンサーの技術を応用して、産業機器や社会インフラに活用されるイメージセンサーを手がけている。セキュリティー用途はもちろん、工場設備や産業用ロボット、スマートシティの各種カメラなど幅広い分野で利用されている。それぞれの用途に応じてカスタマイズして、お客様の要求に応えていく。セキュリティー向けを含む産業・社会インフラ向けのCMOSイメージセンサーは熊本TECで製造している。ニーズに応じた開発をしっかり進め、社会の安全・効率化に貢献するイメージセンサーの可能性を広げていく。
―― モバイル向けの生産拡大については。
山口 長崎TECのFab5は、最新鋭のモバイル向けセンサーの新工場となるものだが、3期構成で立ち上げた。STEP1(クリーンルーム面積1万m²)、STEP2(同1万3000m²)、STEP3(同1万3800m²)という大型スケールの工場となる。
―― 合志の新工場は用地37万m²と広大ですね。
山口 熊本県合志の新工場もまた、モバイル向けセンサーの拡大に向けて作られるものであり、建設工事は順調に進んでいる。
―― 世界初の2層トランジスタ画素積層型のセンサーについては。
山口 これはフォトダイオードと画素トランジスタを別々の基板に形成して積層したものだ。ダイナミックレンジ拡大とノイズ低減を実現し、画素サイズが小さくても撮像特性を大幅に向上させている。画期的に感度が上がるわけで、逆光、室内、夜景などにおいて、高画質な撮影が可能だ。
―― 九州半導体・デジタルイノベーション協議会で会長の任にもありますね。
山口 九州は1980~90年代にかけて、日本の大手総合電機メーカーが半導体工場を次々と建設し、シリコンアイランド九州を形成していった。その後、半導体産業の再編や構造改革が進み停滞期を迎えたが、経済安全保障の観点から、熊本に台湾のTSMCが進出したことを契機に再び盛り上がりをみせている。私はこれを「新生シリコンアイランド九州」と位置づけ、半導体産業を地域の基盤として根づかせ、グローバル企業や中堅企業が共存する産業エコシステムを構築し、未来を見据えた持続可能な産業基盤づくりに取り組んでいきたいと考えている。
(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
本紙2026年1月8日号1面 掲載