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第490回

(株)アドテックエンジニアリング 常務執行役員 露光装置事業部長 竹田幸一郎氏


22年度も3割の大幅増収へ
FA部門との相乗効果も期待

2022/9/2

(株)アドテックエンジニアリング 常務執行役員 露光装置事業部長 竹田幸一郎氏
 (株)アドテックエンジニアリング(東京都港区)のダイレクト露光装置(DI)事業が好調だ。ハイ~ミドル~汎用までのあらゆる露光領域をカバーするプリント基板用露光装置メーカーだが、徐々に先端パッケージ基板用途の比重が高まってきている。増産体制を整え、旺盛な需要にも応える。足元の受注環境ならびに2022年度の事業展開について、同社の常務執行役員で露光装置事業部長の竹田幸一郎氏に話を聞いた。

―― 21年度(22年3月期)もDI事業が好調でした。
 竹田 国内外でDX化が加速し、様々な最終製品の需要が好調に推移した。また、ロジックやメモリーなどの半導体デバイス市場も大きく盛り上がり、関連するパッケージ基板向けの高性能DIの出荷が大きく伸長し、売上構成比で8割を占めた。装置出荷は前年同等の約100台だったが、全体的にプロダクトミックスが改善して、前年度比3割の増収となった。

―― 足元の受注ならびに22年度の事業展望は。
 竹田 旺盛な需要が継続している。22年度いっぱいは受注が埋まっている状況だ。特に中国や台湾企業らによる旺盛な半導体パッケージ基板の投資が継続しており、衰えそうにない。景気後退への懸念やコロナの感染拡大など不確定要素はあるものの、22年度もDI事業として3割の成長(金額、台数ベースとも)を目指す。

―― 主力DIの受注状況や次世代製品の開発動向について教えて下さい。
 竹田 主力製品はIP4を筆頭に、IP6/8が受注増を牽引している。地域別では中国向けが一番多く4割強、台湾や韓国向けも旺盛だ。日本は約2割を占めている。微細配線と高い生産性が特徴であるハイエンド機IP4は、ライン/スペース(L/S)4μm/4μm対応で20年度から先端パッケージ基板向けに受注が拡大してきている。また、HDI向けなどのIP24シリーズなどでは、標準的なL/S24μm/24μm露光から15μm/15μmへとより細線化できる切り替え可能な機種も開発し、受注拡大につながっている。
 さらなる樹脂パッケージ基板の微細化の動きに対応して、次世代DIの開発を鋭意進めている。24~25年度までには市場投入する。

―― 社内のFA部門と連携した動きも加速していますね。
 竹田 最近のパッケージ基板製造工程では、極力人の手を介さない方向に進んでいる。このため自動搬送装置などの活用が進んでおり、DIとロボット搬送システムを組み合わせたりするケースが増えている。また、ドライフィルムレジスト表面のカバーフィルムを自動剥離するオートピーラーとセットで販売したりと社内でも相乗効果が出てきている。現在、剥離の要素開発を進めることで粘着性の高いカバーフィルムのスムーズな剥離を実現し、装置の操作性やメンテナンス性を改善した新製品を開発している。23年度内には外販も検討していく。今後はこうした当社独自の総合力で、顧客満足度のより一層の向上を狙う。

―― シリコンなど無機基板ベースの先端パッケージ向けDE-2に注目が集まります。
 竹田 現在300mmウエハー対応装置の最終仕様の確認を行っており、22年内にも出荷する。解像度はL/S2μm/2μm、オーバーレイ≦1μmの高精度な装置となる。マルチダイやファンアウト(FO)WLPなど先端パッケージ向けの再配線形成に適したDI装置だ。600mm角のFOPLPにも対応した装置も開発しており、シリコンインターポーザーやガラスインターポーザーのさらなる微細化要求に対応する。
 米デカ・テクノロジーズ社と微細回路の形成技術で強力なパートナーシップを結んだ。特にデカ社が展開しているアダプティブ・パターニング技術は、チップのずれに合わせて臨機応変に配線を形成できるので、微細な回路でありながら高歩留まりを実現できる。チップレットなどの技術にも対応し、より難易度が向上する次世代の大型先端パッケージ基板の開発や量産化に貢献する。

―― 長岡事業所の増設も完了しました。
 竹田 21年5月から一部ラインを稼働させ、現在はフル稼働となっている。生産能力は従来比1.4倍まで増強する。最近は装置のフットプリントも大きくなってきているので、生産能力を厳密にいうのが難しい。

(聞き手・特別編集委員 野村和広)
本紙2022年9月1日号6面 掲載

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