エナックス(株)(東京都文京区春日2-12-12、Tel.03-5689-0089)は、リチウムイオン電池(LiB)の開発・製造・販売を手がけるLiB専業メーカーだ。「安全」「長寿命」「高出力」をコアに、ポータブル電源、産業用ESS(エネルギーストレージシステム)などを製品展開する。同時に建設機械、重機械、船舶などのパワー系アプリケーション、さらには、太陽光発電システム、電話基地局、UPSなどのエネルギー系アプリケーションも視野に入っている。代表取締役社長の三枝雅貴氏に話を聞いた。
―― 貴社の概要・事業展開について。
三枝 当社は1996年に設立された。当初はLiBの技術コンサルタント、研究開発受託などを行っていたが、その後、電動スクーター、電動自転車、電気自動車(EV)などの電動移動体をターゲットに製品化を進め、数々の実績を作ってきた。
一方で、電動移動体向けはここ数年で価格が急激に下がり、付加価値をつけた製品を提供できる分野ではなくなっている。電動スクーターや電動自転車では海外製の低価格品が出回っているし、EVは当初、比較的短期間に需要が順調に拡大するとされていたが、結果として期待ほど伸びず、逆に需要拡大を予見して設備投資を進めた電池メーカーにとって生産設備の過剰投資となった。
こうしたなか、当社は技術開発の中核に据えていた中・小型電動移動体向け市場から一歩踏み出し、(1)ポータブル電源、(2)動力用・産業用パワー系アプリケーション、(3)大型蓄電設備用エネルギー系アプリケーションの3市場への展開を決定した。いずれの市場も電源システムとしての機能と信頼性が決め手であり、安全、長寿命、高出力といった当社製電池の強みを十分に生かせる用途だ。
現在は(1)を中心に展開しているが、今後、(2)や(3)にも参入していく。
(聞き手・本紙編集部)
(以下、本紙2012年11月21日号8面)