米アリゾナ州テンピに本社を置くアムコー・テクノロジーは、前身が1968年に韓国で事業を開始したアナム・インダストリアルで、現在OSAT(半導体組立・テストの受託)企業として世界シェア第2位にランクされる企業である。今回、日本法人の(株)アムコー・テクノロジー・ジャパン(東京都港区)を率いる代表取締役社長(日本統括責任者)の川島知浩氏に話を伺った。
―― ご出身、ご略歴について。
川島 神奈川県横須賀市の出身であり、父は潜水艦の設計技師、祖父は軍艦の設計を担当するなどエンジニア系の家柄である。私は県立横須賀高校を出て、東京理科大学機械工学に進み、主に流体力学をテーマに学んだ。卒業後はNECに就職し、川崎の生産技術研究所・玉川事業場で10年間働いた。
―― そこで半導体に出会うのですね。
川島 90年代半ばになって、半導体部隊に来ないかと誘われ、玉川、相模原で半導体の仕事に明け暮れる日々となった。バンプライン、フリップチップ、各種パッケージなどの研究開発と国内外のライン構築でとにかく忙しい日々であった。そしてルネサスに統合されたが、最後は生産戦略部長の任にあった。
―― そしてアムコー・テクノロジーに入られた。
川島 後工程のファンドリーという仕事に関心を持った。私もNECにいたときから後工程に従事していたので親近感もあった。
―― アムコーはワールドワイドに展開していますね。
川島 世界11カ国、20の製造拠点に3万人を超える人員を擁している。工場は日本が一番多くて7カ所。次いで韓国に3カ所、フィリピンに3カ所、台湾に3カ所。そして上海、ベトナム、マレーシア、ポルトガルにそれぞれ1カ所を有している。
―― 米アリゾナ州では大型工場を建設していますね。
川島 アリゾナ工場は2027年の完成をめどに先ごろ着工した。70億ドルを投じる新工場であり、シリコンインターポーザー、ウエハーレベルパッケージなどを強化する。世界はアドバンスドパッケージの時代に突入しており、アリゾナ工場はこうした先進技術に対応していく。
―― 日本国内の展開については。
川島 ルネサス、東芝デバイス、ソシオネクスト、デンソー、ローム、ソニーなどと取引がある。アムコーは全社で①先端パッケージの拡大、②車載分野の拡大、③地理的柔軟性の拡大という方針があり、日本法人もこれに沿った戦略を遂行していく。幸いにして、日本の自動車企業は世界No.1のシェアを持ち技術力も高い。日系半導体企業は、車載半導体にも強みを持っている。今後は日本拠点の生産効率を向上し貢献していくつもりだ。
―― ニッポン半導体も復活の兆しがありますね。
川島 そのとおりだ。国家半導体戦略企業のラピダスは、設計~前工程~後工程の完全一貫生産による大型工場を立ち上げている。アムコーとしても、この動きを支援していくことが考えられる。また、ニッポン半導体の3強であるソニー、キオクシア、ルネサスもアクティブな戦略で拡大を図っている。アムコー・ジャパンの役割は今後も重要になっていくだろう。
―― 日本OSAT連合会の動きは。
川島 これは26社で立ち上げたものだが、賛助会員まで入れれば40社以上となっている。人材育成、自動化推進、テスト重視などが狙いとなるが、日本の各社が団結するのは素晴らしいと思っている。私もOSAT連合会の理事の任にあり、全力でサポートしていきたい。
(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
本紙2026年2月12日号1面 掲載