商業施設新聞
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No.384

北のカナリアたち


松山 悟

2012/10/16

パンフレットを熟読することもサユリストの重要な仕事だ
パンフレットを熟読することも
サユリストの重要な仕事だ
 新博多駅ビル「JR博多シティ」の9階に、駅ビルと同じく2011年3月にオープンした東映系のシネマコンプレックス「T・ジョイ博多」(11スクリーン、席数1972席)がある。オープンの際に取材した縁からか、東映創立60周年記念作品「北のカナリアたち」の試写会の招待状が来た。日時は10月3日で、全国ロードショーは11月3日からとある。主演は吉永小百合さん。ひょっとして、試写会に来福されるかも知れない……と、“サユリスト”の私はミーハーな動機で出かけて行った。

「T・ジョイ博多」が出店している博多駅ビルのJR博多シティ
「T・ジョイ博多」が出店している
博多駅ビルのJR博多シティ
 試写会が始まった。吉永小百合さんの挨拶があった。ただし、映像だった。「試写会にお越し下さいましてありがとうございます」から始まり、最後は「良い映画ですから、周りの方に勧めて下さい」と言われた。吉永さんに頼まれたら、これを断るわけにはいかない。この欄を借りて、東映創立60周年記念作品「北のカナリアたち」を紹介しよう。映画を楽しみにされている方は、この先をお読みにならないで下さい。
 なお、後日に分かったことだが、福岡で試写会が行われた日、東京・丸の内の東京国際フォーラムで、完成披露会見が開催された。こちらの方に、阪本順治監督、撮影の木村大作氏以下、吉永小百合さんら出演者が一堂に会したという。やはり東京にはかなわんねぇ。

 さて、「北のカナリアたち」は、映画「告白」(主演:松たか子)の原作者、湊かなえ氏の「往復書簡」(幻冬舎刊)に収録された「二十年後の宿題」を原案に、「北の零年」の那須真知子氏が脚本を手がけている。
 北海道の離島にある分校に赴任した小学校教師、川島はる(吉永小百合)と分校の生徒6人は、合唱を通して心を通わせていった。しかし、夫・行夫(柴田恭兵)の死を機に、職を辞し、島を離れる。その後、東京で図書館の司書として働く。定年を迎えた時、ある理由で20年ぶりに、再び島を訪れることになった……。
 もったいぶったが、残念ながらここまでしか言えない。

 吉永さんは、40歳の頃の小学校教師と60歳で定年を迎えた図書館の司書を演じ分けているが、教師時代は本当に若々しく、みずみずしいのである。子供たち6人は、子役と20年後の大人になった役は当然俳優が代わるが、大人になった役を演じたのが、森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平の面々。
 子役の子が大きくなったら、きっとそんな顔になるだろうと思うくらい、子役の面影を持っている俳優陣で、それがおかしかった。
 映画の撮影は、稚内、サロベツ、利尻島、礼文島を舞台に、真冬と初夏の2期にわたって、一大ロケーションを敢行したという。冬と夏の自然の落差が、何だか人の心を象徴しているようだった。

 最後に、どのような人に観てもらいたいかというと、個人的には「自分自身の性格が嫌で、嫌で、自己嫌悪に陥っている人。きっと、立ち直れると思う。

(本文中の「宮崎あおい」さんの「崎」は本来は「大」の部分が「立」です)
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