先日、東京・神田にある「絶滅メディア博物館」に足を運んできた。技術の進歩により使われなくなった映像機器やメディア、計算機やデジタル媒体など、様々な「絶滅メディア」を集めた私設博物館で、実際に展示物を触ることもでき、写真撮影もOKという施設だ。まだ現役で使われているもの、または最近まで現役だったようなデジタル端末から、タイプライターのような自分が生まれる前にすでに使われなくなっていたものまであり、とても興味深い空間だった。
タイプライターは実際に触って印字することができ、映画などで見るタイプライターの打鍵音を現実に聴くことができてある種の感動があった。また子どものころに遊んでいたゲーム機や、色々なデータ移動に使っていたフロッピーディスクもあり、滞在している間、ずっと懐かしさを感じることができた。
ここ50年くらいで数えきれないほどのメディアが生まれ、そして「絶滅」している。その一方で、紙の本や新聞というものはずっと現役のメディアとして続いている。経年劣化や機械の故障などで読み出せなくなるメディアが多い中、紙はいつでも読めるものとして残り続けるのだろうか。文明が滅亡したときに文明の足跡を伝えるのは紙と石板だと言われているように、メディアとしての紙は滅ぶことはないのかもしれない。
さて、近年は小売りの世界においても、DX化やデジタルツインといった施策が進んでいる。お買い得情報はアプリの通知で伝わり、店舗のおすすめPOPはサイネージになり、値札は電子値札になっていくといった塩梅で、店の姿も変わっていっているようだ。しかしこうしたものも、例えばフロッピーディスクが光学ディスクに代わり、そして光学ディスクも消えていったように、いずれ新しい施策に取って代わられるのかもしれない。しかしそうした状況においても、特売チラシは最後まで生き残るのではないか。いまだ健在な紙メディアは、そのように思わせる。