2012年韓国大型割引店、
百貨店の売上増減率(前年同月比)
「1カ月間、セールを実施してもモノが売れない」「どうすれば顧客の財布を開けられるか悩んでいる」と嘆く韓国大手百貨店業界。景気低迷で消費者心理が委縮し、百貨店や大型割引店の売り上げの落ち込みが続いている。
百貨店は2カ月連続、大型割引店は4カ月連続で売り上げが前年同月比で減少するなど、内需沈滞の傾向が強まっている。韓国知識経済部は最近、ロッテ百貨店、現代百貨店、新世界百貨店の2012年7月売上高は、平均で前年同月比1.3%減であったことを明らかにした。また、大型割引店3社は同8.2%減と大幅な不振だった(グラフ参照)。さらに、不況の余波を受けて、保険の解約者が大幅に増える一方、新規契約者は減少している状況だ。
ヨーロッパの財政危機に端を発した世界経済の失速に同調するように、韓国経済の低迷ぶりが顕在化しつつある。とりわけ、韓国経済に対する日本式デフレーションへの懸念が取りざたされている。それは、最近の景気減速が深刻な水準にあるからだ。
12年第1四半期(1~3月期)の国内総生産(GDP)の成長率は2.8%にとどまり、前年同期(4.2%)と対比すればその急減ぶりが分かる。消費者物価の上昇率は、3%から0%台に下がっているのに、である。
韓国経済は、日本経済を追従しているのだろうか。それとも、全く異なる軌道を辿ろうとしているのだろうか。経済専門家らの分析はまちまちだが、ここ数年間は過去の日本のような長期不況を心配する指摘が多くなっている。もしも今日までに日本経済が辿った道を踏襲することになるならば、韓国経済は長期的な低成長を覚悟しなければならないという意味だ。
また、出生率の低下と高齢化の進行という事態には、経済の健全さを危うくするリスクが潜んでいる。今や韓国経済は、まさに成長を続けてきた反動とも言える疲労感をもろに受け始めている節目の時期である。
韓国経済のうち、金融部門で最も憂慮されることが2つある。まずは、景気悪化と負債負担の加重による資産価値の下落が本格化し、投資の余力が弱まることだ。次に、これに連動した負債とデフレーションによって、流動性の危機が襲ってくることだ。
また、国家が持続的な成長を遂げるためには、労働人口が豊富でなければならない。韓国統計庁によれば、韓国の生産可能人口は2010年を基準(100)とした場合、2040年には80.2まで減少する見通しだ。世界的に見ると、生産可能人口の減少幅は、日本が第1位で、韓国は第3位にランクされているという。通常、生産可能人口の減少は、消費の縮小を皮切りに、巡り巡って設備投資の縮小による雇用の減少を招き、経済成長率の鈍化という悪循環につながる。
ソウル・蚕室で15年完成を目指し建設中の「第2ロッテワールド」(123階建て)。完成時に韓国経済はどうなっているのだろうか
もちろん、このようなパターンだけで韓国経済が日本経済の歴史と同じ道を辿ることはない、という分析もあり、その根拠の1つが韓国には大手財閥企業が存在していることだ。実際に、大手財閥企業を中心とする韓国の企業競争力は高くなっている。
しかし、一握りの財閥が韓国経済を牛耳っている現状は、日本とは異なる、さらに危険な経済破綻につながる可能性も否定できない。