政府から緊急事態宣言が発出され、仕事のあり方を考えさせられるようになった。今まで当たり前だと思っていた「通勤」もその一つで、3密を避けるために通勤電車を回避し、在宅勤務へ取り組む企業も少なくない。これに関連して、筆者は個室を有するサービスオフィス・シェアオフィスの存在が大きくなっていくのではないかと思う。そして今のこの状況は、これからの働き方や働く場所にも大きな影響を与える。
通勤電車は、以前と比べると空いているにせよ目標とする数字にはまだ届いていないのが現状だ。もちろん在宅勤務をスタートしたり、時差通勤でなるべく人と接触しないような対策をとるところもある。今はいかに人と近づかないか、接触しないかが求められている。
この状況を受け、在宅勤務を始めた企業もあるだろう。これまで「会社で仕事をする」ということが当たり前だった人にとっては、少々違和感があるだろうが、一方で、意外と仕事がはかどるという人もいるのではないか。筆者もその一人で、自宅での仕事も案外悪くない、もしかしたら普段よりも快適さを感じることすらある。もはや会社で仕事をするというのは、労務管理の面を除けば、絶対的なものではないのかもしれない。
こうしたことから、今後、働く場所は多様化していくはずだ。アフターコロナの際、この市場は成長する大きな可能性を秘める。すでに大手不動産会社などが始めているが、新規参入を果たし、徐々に拡大を図るところもある。
例えば、3月にオリックス(株)は東京・日比谷にサービスオフィス7拠点目の「クロスオフィス日比谷」を開業した。同施設は霞ヶ関駅直結の好立地を活かしたサービスオフィスで、充実したオフィス設備や少人数~大人数まで広く対応する部屋を持つ。内覧会に参加させてもらったのだが、利用者の快適性を特に重視している印象で、五感を刺激する数多くのサービスを提供するのが特徴だ。
また、貸会議室などを手がける(株)ティーケーピーも、既存の貸会議室をレンタルオフィスとして貸し出すサービスを広げている。すでに多くの施設を保有しており、これらをうまく活用することで新たなサービスを展開する。
新たな働き方が生まれるなか、働く場所を選ぶことも求められる。不動産のオフィス市場は、需要の高まりを受けこれまで好調を維持してきたが、今回の新型コロナウイルス感染拡大により、企業のオフィス移転計画にも影響が出ると聞く。優良な人材確保のため、大手企業を中心により良い立地への移転が進んできた昨今だが、こうした動きにも変化が表れてくるだろう。そうなった時、どこで働けるか、その選択肢を広げるサービスオフィス・シェアオフィスの存在感はさらに高まるはずだ。