韓国で今、「日流」ブームが顕在化している。日韓関係といえば、竹島領有権問題をはじめ、従軍慰安婦の問題や朝鮮人徴用工の問題など、様々な歴史の認識の隔たりで、常にぎくしゃくしてきた。だが、このような過去とは裏腹に、経済や文化交流では著しい変化が巻き起こっている。政治と経済・文化を結び付けたがらない韓国の若者層が急激に増えつつあるからだ。
訪日客は2016年に2400万人、17年は前年比大幅増の2869万人に達するなど、インバウンド需要は年々高まっている。その中で、特に日本を訪れる韓国人観光客は毎年、新記録を更新している。17年には714万人が来日し、前年度の509万人に比べて200万人以上増加しており、凄まじい勢いで増えている。日本政府観光局によれば、18年1~7月は累計462万人強、前年同期比で14.5%増えた。
福岡市の能古島に向かう船には
韓国からの旅行客が多い
筆者も九州や山口、関西へ取材に訪れるたびに感じるのは、とにかく韓国人の旅行者が多いことだ。博多駅エリア、大阪の難波エリアなどの商店街は韓国人で溢れているという具合だ。
筆者の姪は8月に震災前の札幌を1週間旅行したので、日本への旅行について感想を聞いたところ、「できれば3カ月おきに四季を通して行ってみたい」と大満足していた。そして、「なにより商売をする人々の親切さと価格の正直さ、街の清潔さに感動した」と付け加えた。
韓国人による「日流」は、日本への旅行ばかりではない。韓国国内における日本食の店も増え続けている。韓国統計庁によると、06年に5272店であった日本食の店は、16年には1万39店と2倍程度に急増している。さらに、日本のアニメはもちろん、村上春樹や東野圭吾などの文学小説も、韓国の若者層に絶対的な人気を博している。
そもそも人間同士と国家間の喧嘩や戦争は、お互いの誤解から始まることが多い。昨今の韓国若者層における日本ブームは、かつての偏った誤解を緩和し、まさに未来志向的な日韓関係の「日流」となるに違いないだろう。