商業施設新聞
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No.676

コンテストでリアルを体感


松本 顕介

2018/10/9

 先日、日本ショッピングセンター協会主催の「第24回SC接客ロールプレイングコンテスト関東・甲信越大会」に参加した。それも審査員という大役を仰せつかったのだ。初めての体験は色々な発見があり、収穫が多かった。
 筆者が審査を務めたのは関東・甲信越の「ファッション・物販部門」で、参加リストを見るとエントリー数は55人。このエリアの様々なショッピングセンターや商業施設などから多種多様なブランド、業種のショップ店員が参加していた。

 競技は1人6分(物販部門)の持ち時間が与えられ、審査は「ブランドイメージの体現」「表情」「言葉遣い」「挨拶・声がけ」「聴き方」「話し方」「ニーズの把握」「情報提供・商品説明」「提案力・アドバイス力」「再来店意欲の喚起」の項目を採点する。舞台上で行われ、観客席には同じ職場の人が応援に来ており、いつもの接客であっても“見られる”という点で勝手が違い、その緊張も想像に難くない。

 そして、客を演じるのはプロの女優さんである。控室で挨拶した時は普通の女性と思ったが、この3人が様々な人に変身するのだ。受験で子供の学校を見に行くために服を見に来たという人、次の週末に彼と彼の母親と食事するために立ち寄った人、会社帰りで閉館に間に合うように急いでやってきた人、何か運動をしようとちょっと覗きに来た人などなど、様々な来店動機を携えて訪れる。55人を3人で対応するので、1人あたり20人。つまり、1人で約20人分の人格、いや人生を演じるのだが、なかなかディテールができている。これには正直驚き、まさに女優魂を感じた。予定調和であったものが、そうではなくなるのだ。嘘っぽさがなく、本当に来週、彼氏の母親と人生をかけた食事をするのだろうと思わせる。「ああ、うまくいくといいな」と、ついそんな気になる。

井上審査委員長(左から5番目)と優勝した谷口さん(「まくらぼ」イオンモール北戸田店、右から5番目)
井上審査委員長(左から5番目)と
優勝した谷口さん
(「まくらぼ」イオンモール北戸田店、
右から5番目)
 その、人生をかけてショップを訪れた人への接客は――。ショップスタッフは彼女に気持ちよく買い物ができるように導けるのだろうか。キャリアは長いが、今ひとつ伝わらない人がいる一方で、何も怖さのない新人がその元気のよさから場を持っていくこともある。なかにはコントのような人もいた。しかし優勝者はもちろん、会場の空気を変える。優勝者が「いらっしゃいませ」を発した瞬間から場の雰囲気が一変した。その後は審査員も観客もその接客にぐいぐい引き込まれるのだ。

 リアルのすごさ、迫力、そして魅力を感じたコンテストだった。がんばれリアル!
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