商業施設新聞
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No.352

ひたすら上だけを見て


岡田 光

2012/1/31

 「忙しないなぁ~」、そんな言葉を連呼したくなるような日々であった。
 1月中旬に東京へ出張したが、編集長や副編集長の巧みな裏工作により、2日間のスケジュールはぎゅうぎゅう詰めの状態。「LUMINE有楽町店」や「二子玉川ライズ」など、関東の注目商業施設を一目見ようと目論んでいたが、結局、雨の「東京スカイツリー」を撮影するのみにとどまった。

 初日は好天に恵まれ、早速、「焼肉ビジネスフェア2012」が開かれている池袋サンシャインシティ文化会館に向かった。会場に入ると、モクモクとした煙と焼肉の香ばしい匂いが立ち込めていた。同展示会は年に一度の焼肉業界のイベントであるが、今年は東京だけではなく、大阪でも開催が予定されており、中部・関西地区に本社を置く企業のブースが多く見受けられた。
 焼肉業界は、BSE(牛海綿状脳症)問題やユッケの集団食中毒事件など、とにかく悪い話ばかり続いていたので、同展示会も暗いムードに包まれているかと思ったが、「この消臭硝煙装置は焼肉店だけではなく、フライヤーを置いているコンビニエンスストアにも販売しています」とか、「このロースターは大手焼肉チェーンに加え、最近はハンバーグを提供する大手ファミレスチェーンにも大変好評です」という声を聞いて、プラス思考だなぁと逆に感心させられた。

 2日目は小雪舞い散るあいにくの天気だったが、パシフィコ横浜で開かれていた最終日の「SCビジネスフェア2012」を訪れた。関西地区からは、大阪地下街(株)、(株)神戸ニュータウン開発センター、阪急阪神ビルマネジメント(株)などのデベロッパー群に加え、(株)京阪流通システムズ、近畿日本鉄道(株)/(株)近鉄百貨店、南海電気鉄道(株)などの私鉄各社もブースを構えていた。各ブースの取材で、一番驚いたのは「商業施設新聞、あっ~知っていますよ」という声だった。確かに、最近はデベロッパーの連載取材で、上記の企業に訪問する機会が増えていたのは事実だが、それでも驚きを隠せなかった。ただ、良いことばかりでもなく、某大手デベロッパーからは掲載記事でお叱りを受け、某専門店からは「いつも商業施設新聞を愛読していますが、本社が遠方にあるため、取材に来られるマスコミ記者はほとんどいません」と、こちらが恐縮するようなお言葉もかけていただいた。

 忙しない2日間であったが、将来有望な後輩たちとじっくり話すことができたのも収穫であった。初日の夜、筆者と本社編集部の後輩、本社販売部の後輩の3人で“井戸端会議”を開いたが、筆者が饒舌にしゃべるのを見て、「そんなにしゃべる人だったんですねぇ~」と率直な感想を漏らしていた。彼らにどこまで伝わったのかは分からないが、2人の奮起を陰ながら期待したい。

 筆者も今年5月で入社10年目を迎える。在り難いことに、いまや3人の部下を抱える大阪支局長という立場にあるが、それでも日々、満足を覚えることはない。
 「あの時、こうすればよかった」「もっとこんな指示が出せたんじゃないのか」と後悔する前に、今はただ突き進んで、ひたすら上を目指せ。曇天と小雨で霞がかった「東京スカイツリー」は、筆者にそう語っていたように思えた。

霞がかった「東京スカイツリー」
霞がかった「東京スカイツリー」

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