半導体製造装置・材料の業界団体SEMIチャイナ(中国・上海市)は、3月14日から3日間、上海市でセミコン・チャイナを開催する。先端半導体の国産化を推進する国家政策と2兆円超の金融ファンドの後押しで、中国のIC産業は新時代に突入した。SEMIチャイナのジュー・ロン(居龍)総裁に展示会の見どころと中国IC産業の今後の展望を伺った。
―― 今年のセミコン・チャイナの見どころは。
居 中国政府は2014年に半導体産業の中長期発展計画(国家集成電路産業発展推進綱要)を発表し、15年に半導体産業を専門とする国家IC産業ファンドを設立した。巨額資金が半導体業界に投入される金融スキームが誕生し、300mm工場の投資計画は中国全土で20案件以上に及ぶ。
こうした背景から、今度のセミコン・チャイナは過去最大規模になる。出展ブースは3000小間(計6万m²)、出展企業は900社を予定。6万人以上が来場するだろう。ICやFPD、LEDなどの各分野をカバーし、タッチパネルや有機ELの製造装置や材料などの展示コーナーも設ける。過去6年続けて世界最大のセミコンショーとなる。
―― 出展企業は。
居 前工程ではファンドリーのSMICやXMC、HLMC、大型メモリー工場のYMTC(長江ストレージ、長江存儲科技、武漢市)。後工程ではOSAT(半導体の組立・検査の受託)のJCET(長電科技)や南通富士通、天水華天微電子などが出展する。
製造装置では、16年にセブンスター(七星華創電子股)と北方微電子が合併したノーラ(NAURA、北方華創微電子装備)など、PVDやCVD、拡散炉、エッチャー、洗浄装置などのメーカーが出展する。
―― カンファレンスについて。
居 初日はSMICやASE、東京工レクトロン、ASML、ラムリサーチ、IMECなどのトップクラスがキーノートスピーチを行う。中国IC産業と技術、投資のセッションでは、国家IC産業ファンドの丁文武総裁や清華大学微電子学研究所の魏少軍所長、半導体の国産技術開発プロジェクト(02号項目)メンバーで北京経済技術開発区の梁勝主任、装置と材料開発分野の中心人物である中国科学院微電子研究所の葉甜春所長らが各分野の動向を紹介する。
―― 中国の大型投資計画をどう見るか。
居 中国には20案件以上の300mm工場計画があり、これらが全部実現したら18年以降に中国は世界最大の設備投資国になる。しかし、これは大きなチャレンジだ。短期間で日米欧韓台に追い付くには人材や技術力が大きく不足している。これを政府の資金力で解決しようとしているが、米国などの技術流出に対するガードは固い。製品の計画が不透明な工場計画もあり、今の実力と計画目標とのギャップを埋める具体的な計画立案と実行リーダーが必要だろう。
―― 日本企業にメッセージを。
居 SEMIチャイナは展示会のほかにも、各種専門員会(装置材料やMEMS&センサー、車載、パワー半導体など)を運営している。日本企業の参加はあまり多くないが、専門分野の中国企業と交流するよい機会といえる。
また、過去3回、電子デバイス産業新聞の協力のもと、中国の半導体業界企業の訪日視察を実施してきた。訪問した企業は40社近くに及ぶ。今年も9~10月に訪日視察を検討している。
日本には技術力があり、中国には潜在市場がある。発展を始めた中国のIC製造は、高い技術力を持つ日本企業との協業が不可欠だ。SEMIチャイナは業界内の連携を深めるプラットフォームとなり、これからも半導体業界の発展をサポートしていきたい。
(聞き手・上海支局長 黒政典善)
(本紙2017年3月2日号10面 掲載)