JA三井リース(株)(東京都中央区銀座8-13-1、Tel.03-6775-3000)は、JAグループと三井グループの特性を併せ持ち、多様なチャネルや国内トップクラスの金融・物流ネットワーク、幅広い業種・業界に精通した専門力を活かした高付加価値のリース・ファイナンス・ソリューションを提供する。
日本中に展開する営業拠点網を軸に、顧客企業をきめ細かくサポート。さらに海外でのビジネス展開や再生可能エネルギー分野など、新たな事業領域へも積極的に取り組んでいる。グローバル営業本部の土井清視本部長に、半導体業界におけるリース・ファイナンス・サービス、中古装置ビジネスの概況、今後の成長戦略などを伺った。
―― 16年を振り返って。
土井 すでにご案内のとおり、国内では外資系大手メモリーメーカーの先端プロセス向けで大口案件を実行するとともに、国内に製造拠点を持つスペシャリティーファンドリーの買収案件向けでもシンジケートローンを組成し実行した。
また、海外においても台湾や中国においてオペレーティングリースを実行するなど、グローバルに当社のファイナンス・サービスを提供することができた。一方で、半導体業界を見るとデバイスメーカーのM&Aによる業界再編が依然として進んでおり、事業環境としてはより厳しい状況に向かいつつあるのも確かだ。
―― そのような厳しい事業環境のなかで、多くの案件をアレンジできる強みは。
土井 特別なことをしているわけではない。当社では、お客様のところに何度も足を運び、話をお聞きして、きめ細かなサービスを提供している。「顧客密着型営業の実践」ということに尽きる。また、当社では中古装置の評価というところでは、人員の増強を進めているところだ。中古半導体製造装置の総合サプライヤーである米国AG Semiconductor Services, LLC(AGSS社)に出資し、連携を強化している。これにより、ファイナンスとあわせた多様な機能・サービスをご提供することができる。
―― 17年度の見通しは。
土井 半導体市況は依然として好調に推移している一方で、業界の勢力図は日々変化している。そのような状況のなか、単純なファイナンス・サービスだけではお客様のニーズに応えることはできない。M&Aやファブの買収に関連したところでのファイナンス需要の捻出など、シチュエーションに応じたサービスを提供することで、お客様をサポートしていきたい。
―― 今後の成長戦略についてお聞かせ下さい。
土井 今後は、海外での市場開拓・顧客との関係強化が事業拡大の大きなカギを握ると見ている。例えば、中国においては、三井物産グループが幅広い営業拠点・ネットワークを構築しており、グループとしての強みを活かすことができる。当社では、すでに中国での実績を持つが、さらなる顧客の開拓に取り組んでいる。
―― 昨年、米国に支店を新たに開設されていますね。
土井 16年10月、米国の半導体関連企業が集まるシリコンバレーに当社現地法人が支店を開設した。これにより、デバイスメーカーのみならず製造装置メーカーを含む米国半導体業界への営業活動を拡充していく。また、AGSS社との連携で、サービスのさらなる向上も図っていく構えだ。
加えて、今後は欧州市場における営業体制の確立も視野に入れている。当社では、17年度から新たな中期経営計画(17~19年度)への取り組みが始まるが、この3カ年でグローバルでの体制を確立させていく。
(聞き手・副編集長 稲葉雅巳/清水聡記者)
(本紙2017年2月23日号10面 掲載)