ついに、というべきなのかオールドネイビーが日本から撤退した。ららぽーと富士見などで1月22日まで営業していたが、同日に閉店し、日本の店舗はなくなった。1~2月、オールドネイビーの跡地についてデベロッパーに聞くと「次のテナントの契約が大詰め」「もう決まっている」など後継テナントのリーシングを進めている。
日本から撤退したオールドネイビー。
日本のファション業界の行く末はいかに
オールドネイビーの撤退には、ファストファッションの競争激化など様々な理由が挙げられている。各デベロッパーに「実際のところオールドネイビーどうでした?」と聞くと、「確かに調子悪かったんですよ…」という企業がある一方、「うちは調子良かった」と話す企業も。筆者が興味を引かれたのは「数字はそこそこだけど撤退されると困る」というケースだ。
このケースを聞くと、ヤングファミリーが一家全員の服を買おうとなったとき、「あの施設にオールドネイビーがあるからとりあえず行こう」となり、ファミリー層の集客装置になっていたという。オールドネイビーはファストファッションの中でも「家族の服をまとめて買える」ということを前面に出しており、その戦略が当たっていたのだろう。ただ、結果として別の店で買うこともあるわけで、施設内のテナントで売り上げ上位には入らないこともあったそうだが、施設運営者側からすれば人を呼んでくれるありがたいテナントだったという。服をネット通販で買うのが当たり前となった時代、集客装置となるファッション店がなくなるのは惜しい。
オールドネイビーの撤退に代表されるように、ファストファッション店の勢いもだんだん消えつつあるという。あるデベロッパー曰く、「みんなもう持ってる」からだとか。ファンが冬物、春物など季節に応じて買うことはあるが、ブームとして購入する機会は減っているという。
ではファストファッション以外は調子がいいのかというと、そうでもない。知名度のあるブランドの中には奮闘するブランド、企業もあるが、総じて厳しい。最近、デベロッパーにこの先ファッションは回復すると思いますか、と質問するが、シンプルに「回復する」と答える企業はない。むしろ多くの企業が「しない」という。
ただ、ファミレス業態も一昔前は「終わった業態」として挙げられることがあったと思い出した。業界として絶好調というわけではないが、すかいらーくは復活し、好調を維持している。すかいらーくの場合、いわゆるファミレスに加え、しゃぶしゃぶ業態など専門店系が好調だ。ファッション店にも高い専門性が必要になっているのだろうか。ロンハーマンは強いブランドイメージが上質な生活を送りたい層に受けているという。ファッション店は従来の「洋服屋さん」から進化しなければいけないのかもしれない。