ソウル江南区三成洞に位置する韓国総合展示場(COEX)が、現状の4階建てから最大39階建てに増築される。このため、現在、建築法の法定容積率の限度を500%から650%に緩和すべく調整を行っていく予定だ。韓国の国家競争力強化委員会と江南区役所は、この内容を盛り込んだ「COEX特別計画区域の細部開発計画決定(案)」を策定し、増築に向けた準備を進めている。韓国電力本社が地方(全羅北道羅州)に移転するのを契機に、COEXエリアを複合展示クラスターに変貌させるための一環である。
ここ数年間、COEXは急増する展示需要に対応し切れず、政策的かつ半強制的にKINTEX(韓国国際展示場、京畿道高陽市)へ回してきた経緯がある。KINTEXは、ソウルから遠いうえに、認知度も低いことから、展示主催者側には不満が募っていた。こうした背景から浮上してきたのが、COEXの増築計画である。
計画案によれば、現在3万6000m²あるCOEXの展示場を、1.5倍の5万4000m²に拡大するというもの。また、1万1000m²の会議スペースも2倍の2万2000m²にする。さらに、4階建てのメーン施設(展示場)は6階建てとなり、展示場の空間全体は大きく増える。そして、メーン施設の真ん中に、幅の狭い最大39階建て規模のタワー棟(2棟)が新しく建設されて、隣の韓国貿易センタービル(55階建て)と建ち並ぶことになる。
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ソウル江南区に位置する貿易センターとCOEX |
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10年11月に開かれた「G20ソウル・サミット」の様子 |
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COEXには今後、貿易専門大学院や貿易研究院などを入居させて、教育およびオフィス空間としても活用する予定だ。タワー棟の上層には、最大で4000人余りを収容できる国際会議場が入る。まだ具体的な施設内容は決まっておらず、建設スケジュールも様々な法的手順を経てから確定する予定で、その後に最終的なCOEX増築の青写真が決まる見通しだ。
COEXの増築計画は、2010年11月に「G20ソウル・サミット」を開催したことが、決定的なきっかけとなった。サミット以前から、国家競争力強化委員会、江南区、韓国貿易協会などは、最大収容人数が1065席にすぎないCOEXの会議場において、国際会議を開催するのは限界があると訴えてきていた。
しかし、COEXの増築に向けては課題も山積している。1兆ウォン(約740億円)と試算される建設費をどのように調達するのか。また、ソウル市がどの程度まで破格なデザインを許容するのか。とりわけ、呉 世勳(オ・セフン)市長が任期途中で辞職したことに伴う市長選が10月26日に行われるが、この結果によっては増築計画自体が揺らぐ可能性も否めない。
いずれにせよ、韓国ではCOEXをはじめとする展示場の需要が日に日に高まっている。この需要を充足させるため、ソウル市と関連協会・業界では国家競争力を高める公益的観点から、COEXの増築計画を推進したい考えのようだ。
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