エーエスエム・アッセンブリー・テクノロジー(株)(東京都立川市錦町1-7-18、Tel.042-5221-7751)は、シンガポールや香港、中国(四川、深セン、慶州)に製造・開発拠点を持つASMグループの一員として、半導体業界に最先端のアセンブリー技術を提供している。代表取締役社長の小林孝志氏にビジネスの概況、今後の技術開発の展望などを伺った。
―― 2016年上期(1~6月)の業績ならびに事業の概況について。
小林 上期の売上高は前年同期比1%増の32億6000万香港ドルと、若干ではあるがプラス成長となった。海外市場では、1~6月期における引き合いは低調に推移していたが、7~9月期に入って受注が大きな伸びを見せ、年内は明るい見通しだ。
一方、国内での受注状況を見ると、1~6月期はスマートフォン(スマホ)関連向けのダイボンダーやカメラモジュール・CMOSイメージセンサー用のアセンブリー装置が好調に推移し、LED関連も底堅い需要があった。しかし、7~9月期に入ると市況は急激に鈍化しており、先行きが不透明な状況にある。
―― 15年に市場投入した新ワイヤーボンディング装置の拡販が期待されます。
落合 当社が昨年市場投入した最新のワイヤーボンディング装置「AERO Bonder」は金/銅ワイヤーの共用機で、革新的な技術を採用した。
具体的には、今回の新型機はトランスデューサーにスクラブ機能を持たせている。これにより、広いプロセスウインドウを確保できるとともに、高生産性(高速性)も実現している。
すでに海外では納入が進められており、国内でも今後の主力機種として拡販に注力していく。
―― FOWLPなど新たなパッケージ技術に向けた装置開発について。
小林 FOWLPについては、当社も顧客ならびに部材メーカーなどと連携しながら開発を進めている。
プロセスとしては、チップをフェースアップでボンディングするのか、フェースダウンでボンディングするのか、電極をどのようにファン・アウトさせるのかなど、顧客によって考え方が様々だ。
そうした状況のなか、ボンダーへのニーズとしては広いボンドエリアの確保・実現が挙げられる。当社ではすでに300mm角/直径300mmまで対応可能だが、これをさらに広げる方向で開発を進めている。
一方で、ボンディング精度としては±2μmという非常に高精度なボンディングが求められるなか、コスト削減も視野に入れる必要があり、装置開発はとても一筋縄ではいかない。
―― 開発における部材メーカーとの連携とは。
小林 FOWLPに限らず、最先端のパッケージ技術では、単にボンダーを高精度化・高機能化するだけで顧客の所望するレベルを実現するのは難しい状況にある。
例えば、樹脂を硬化させる際の加熱温度や樹脂の材質によって、チップがずれてしまったり、反りが発生してしまう。このため、装置、部材を含めた総合的な開発が必要となる。
なお、ASMグループでは優れたレーザーダイシング技術をもつALSI社や、印刷機メーカーのDEK社を買収し、傘下に収めている。これにより、アセンブリーに対して、より幅広いソリューションを提供することが可能であり、大きな強みと言える。
(聞き手・清水聡記者)
(本紙2016年9月29日号4面 掲載)