キューリック・アンド・ソファ(シンガポール、日本法人=東京都品川区北品川1-3-12、Tel.03-5769-6100)は、ワイヤーボンディング装置市場でトップシェアを持つ業界のリーディングサプライヤーだ。5月より日本法人の代表取締役に就任した小野寺英典氏にビジネスの現状、今後の装置技術開発の展望などを伺った。
―― ご略歴・今後の抱負からお聞かせ下さい。
小野寺 もともと設計エンジニアとしてテスターの開発に携わってきた。日本をはじめ海外の主要テスターメーカーでキャリアを積ませていただくなかで、メモリーやSoCからワイヤレスLAN、MEMSまで、非常に多岐にわたるアプリケーションに向けたテスターの製造・販売を手がけてきた。
昨今の半導体パッケージでは、2.5Dや3Dなどのアドバンストパッケージの導入・開発が急ピッチで進められている。そこでは、ワイヤーボンディングで「つなぐこと」と、そのデバイスを「テスト(測定)する技術」がより密接なもとになってきている。
当社が持つ優れたワイヤーボンディング技術に、私のキャリアを活かすことで、お客様への新たな価値の提案、付加価値の提供に寄与できればと考えている。
―― 2015会計年度第3四半期(4~6月期)業績は。
小野寺 売上高は前年同期比8.8%減(前四半期比13.4%増)の1億6500万ドルとなった。2四半期連続でプラス成長を記録し、14年10~12月期を底に回復基調に転じている。広範囲な半導体産業のなかでも、コネクティビティーや各種センサー、RFマーケットなど、急速に市場を拡大しているデバイス向けが伸びた。また、自動車・産業分野においては、顧客との関係強化によって、アプリケーションなどに対する対応の加速を図っている。
―― 新製品・技術の開発について。
小野寺 自動車・産業向けウエッジボンダーでは新装置「Asterion」を市場投入したところだ。K&Sと旧オーソダイン社の優れた技術を融合したことで、お客様の生産性・稼働率を従来から大きく高めることができる。
また、当社では1月にAssembleon社を買収した。これにより、同社のSMTシステム「ハイブリッドシリーズ」と独自開発のTCBフリップチップボンダ「APAMAシリーズ」により、アドバンストパッケージ(FC、SIP、POPなど)向けに包括的なインターコネクトソリューションを提供することができる。ハイブリッドシリーズは、通常チップとパッシブコンポーネントの実装を1台の装置で対応でき、特にCoO、UPHの点で付加価値を提供できる。
―― 日本での事業拡大に向けて。
小野寺 K&Sジャパンには、Cuワイヤーや小ピンデバイス用高速ワイヤーボンダーなど、最新機種4台を設置。また、ウエッジボンダー新製品「Asterion」は販売代理店のテクノアルファ(株)に設置済みだ。
当社のキャピラリーやブレードなどの国内販売を手がける巴工業(株)とも緊密に連携しながら、顧客サポートの充実も含め、お客様の事業拡大に貢献できるよう今後も取り組んでいく。
(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年9月24日号8面 掲載)