電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第118回

(株)ハイボット 代表取締役 ミケレ グアラニエリ氏


インフラ関連ロボットを多数開発
配管点検ロボに注力

2015/4/24

(株)ハイボット 代表取締役 ミケレ グアラニエリ氏
 (株)ハイボット(東京都品川区北品川5-9-15、Tel.03-5791-7526)は、東京工業大学発のロボットベンチャー企業だ。送電線点検ロボットや配管検査ロボットなど、これまでにない新しいロボットを次々と開発し、その取り組みが注目を集めている。代表取締役のミケレ グアラニエリ氏に話を伺った。

―― 貴社の概要を。
 グアラニエリ 当社は、過酷な環境で作業するロボット開発において40年以上の実績を持つ東京工業大学 広瀬茂男名誉教授の研究室メンバーが中心となり、2004年に設立したベンチャー企業である。現在はインフラ関連のロボット開発を中心に、モータードライバーやマイコン基板など、ロボット用コンポーネント製品の販売も手がけている。これまでハイボットとして30種類以上のロボットを開発し、そのなかには地雷検査ロボットや極限作業を行うロボットの開発も手がけた実績がある。

―― 現在注力している分野は。
様々なインフラ系ロボットを開発
様々なインフラ系ロボットを開発
 グアラニエリ 現在、最も注力しているのが「THESBOT(テスボット)」だ。内径75mmのパイプ点検が可能な配管点検ロボットで、曲がることや垂直に上方前進もできる。石油プラントなどでの使用が見込まれており、今後の事業成長の軸に据えていきたいと考えている。そのほか新しい分野としては、ダム、トンネル、橋梁の点検に用いるロボット開発なども進めている。

―― 貴社の強みは。
 グアラニエリ 当社はインフラロボット分野を中心に10年以上、事業を展開してきた。さらに、当社のCTOでもある広瀬名誉教授は同分野で40年以上の実績を有している。この技術ノウハウを活用することで、企業から課題を提示されたとき、他社にはできない様々なソリューションを素早く提供できる。またロボットだけでなく、コンポーネント部分に関しても高いノウハウがあることが強みと言えるだろう。

―― 搭載する電子デバイスについて。
 グアラニエリ ロボットに搭載される電子デバイスは、高い性能・品質が一般的に求められるが、当社の場合、開発するロボットが過酷環境下で作業するものばかりであり、高温・高湿度への耐久性、防水性、放射能への耐性など、電子デバイスへ求める性能水準は高い。
 また、狭小空間でも作業できるようにロボット自体はコンパクトにする必要があり、その条件に対応できる小型かつ高性能なコネクターやチップなどは常に求めている。
 マイコンやMEMS製品などでは、STマイクロエレクトロニクスからサポートを受けている。STマイクロは近年ロボット向けの取り組みを強化しており、対応も素早いことから非常に助かっている。

―― 今後の抱負を。
 グアラニエリ 様々なインフラロボットを開発してきたが、それらはすべて「危険な作業や重労働作業から人を守り、人を助ける」ことをコンセプトに据えてきた。その方針は、これから何があろうとも変えるつもりはなく、今後も社会課題を解決するロボットイノベーターとして事業を展開していきたい。
 会社としては、10年にロボット大賞の中小企業基盤整備機構理事長賞を受賞し、14年9月には世界経済フォーラムより「Technology Pioneer 2015」に選出され、ハイボットの知名度も向上してきており、国内のみならず、米国やシンガポール、欧州など海外からも話をいただくようになった。その事業範囲の拡大に対応するため人材確保も積極的に行ってきたいと考えており、特にソフトウエアやメカトロニクスに精通した人材を確保したいと考えている。

(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年4月23日号9面 掲載)

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