商業施設新聞
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No.502

横浜マラソン2015


松本 顕介

2015/4/14

 エリアにいかに訪れてもらうかが街づくりや地域活性化の大きなテーマだ。イベントや催し物、行事はその核となる。文化的なものからスポーツイベントまで様々な催しが各地で行われ、人が集う。その中にあって、最近殊に多いのがマラソンではないだろうか。マラソン人口の拡大とともに、週末になると全国各地で様々な大会が開かれている。競技会という枠を超えて地域の特色や特性を打ち出し、大型イベントとしての色合いが強くなっている。

 横浜マラソンもそのひとつだ。1981年から始まったこの大会もこれまでは10kmのハーフマラソンだったが、2013年(この年は10kmのみ)を最後に装いを新たにフルマラソンにバージョンアップして帰ってきた。ショッピングセンター的に言えば売り場面積を倍増してグランドオープンといったところ。

 その「横浜マラソン2015」に出場した。ポイント制で行われるワールドマラソンメジャーズに組み込まれている東京マラソンより町興し色は強いが、とはいうものの370万人を抱える大都市での開催である。盛り上がらないわけがない。これまでの横浜マラソンはスタート・ゴール地点が山下公園で、エントリー受付は開催当日で、レースが終わったらゴール地点からほど近い中華街にでも行くか、という具合に1日でイベントが終了していた。

 しかし、フルマラソンに格上げされるとこうも変わるのか。まず受付は事前型に変更され、レース前日、前々日となった。少なからず面倒を感じながらも行けば行ったで気分は高揚する。受付会場はパシフィコ横浜全館だ。様々なテナントが出展し、大会を盛り上げる。新製品も展示され、ついソックスやサプリメントを買ってしまうなど財布も緩む。シューズまで買おうと思ったが、思いとどまった。

2万人を超えるランナーが一斉にスタートした
2万人を超えるランナーが一斉にスタートした
 本番当日。これまでは、タイムを出してやろうと意気込んでいたが、初フルマラソンに挑むにあたり経験豊富なランナー仲間から「前半突っ込むな(ハイペースになるな)」との戒めもあり、のんびりペース。するとあら不思議、赤レンガ倉庫、中華街、横浜スタジアムなど横浜の風景がやけに飛び込んでくるではないか。特にコースの特徴として首都高速湾岸線の約11kmがコースに組み込まれており、一気に走りきるのはもったいない気すらした(だんだん飽きてくるのは否めないが)。

 また沿道には60万人を超える人が応援に駆けつけた。今までは、沿道の応援に手を振る余裕はなかったが、今回は応えた。すると楽しいのに気付く。さらに18カ所の給水所に18種類の「給水パフォーマンス」と呼ばれる多彩な応援が用意されており、バーテンダーや横浜F・マリノスなど、横浜にゆかりのある団体による嗜好を凝らした応援が楽しめたし、給水所は「ラッキー給食」と銘打って崎陽軒のシューマイやアリアケのハーバーなど地元の特産品が提供された。そんなこんなで苦しくも意外と短く感じた42.195kmだった(ハズだった。180m不足は個人的にはご愛嬌。良しとする)。
首都高速を走れるのが特徴
首都高速を走れるのが特徴

 完走したランナーは一様に達成感に溢れたいい表情をしている。三々五々で周辺の最新商業施設で食事や語らいを楽しんだであろう。地元住民の応援を差し引いても十数万人は店舗や商業施設に足を運んだのではないだろうか、と想像すると、イベントの集客力を感じずにはいられない。かくいう私はというと、応援に来ていた知人に華やかな商業施設群から離れた飲み屋街に連れて行かれた。ギャンブル好きが好む飲み屋である。しかしそういうところにもランナー達が喉を潤しに来て、見知らぬ人でもマラソンの話題で盛り上がる。また来年も会おうとハイタッチして帰路に就いた。
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