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第114回

(株)DMM.com ロボット事業部 事業部長 岡本康広氏


民生用ロボット市場を形成へ
クラウドサービスなども提供

2015/3/27

(株)DMM.com ロボット事業部 事業部長 岡本康広氏
 (株)DMM.com(東京都渋谷区恵比寿4-20-3、Tel.03-5789-7031)は、インターネット関連事業を幅広く手がけている。そのなかで新規事業としてロボット事業を開始し、1月末より「DMM.make ROBOTS」というサイトを立ち上げた。ロボット事業部 事業部長の岡本康広氏に話を伺った。

―― ロボット事業発足の経緯から。
 岡本 当社ではインターネットを活用したコンテンツの販売・レンタルに加え、最近では英会話やFXなど幅広い事業を展開している。そのなかで2013年7月から3Dプリンター関連の事業を立ち上げ、さらに14年11月からはハードウエア・スタートアップを支援する「DMM.make AKIBA」を秋葉原に開設するなど、ものづくりに関する取り組みも進めている。それらの事業を進めるなかでロボットに可能性を感じ、調査を開始したのが出発点だ。

―― 調査でどのようなことが見えてきましたか。
 岡本 日本が産業用ロボットで高いシェアを持っていることは知っていたが、一般消費者向けの民生用ロボットに関しても優れたメーカーならびに技術が多数あることが分かった。
 しかし一方で、それらのメーカーの多くは開発が事業の中心で、販売やマーケティングまで手が回っていないという現状も見えてきた。そこで、販売やプロモーションに高いノウハウを持つ当社がロボット分野のプラットフォームとなり、市場活性化の起爆剤となるべく、立ち上げたのが「DMM.make ROBOTS」である。

―― その事業の内容は。
 岡本 当社はロボットキャリアという位置づけで事業を展開していく。これは携帯電話業界でいう通信事業者のような位置づけだと思ってもらえればよい。つまり、当社が製品販売や関連サービスを担当することで、メーカーは製品の性能向上に集中できるというわけだ。そのロボットキャリア事業には大きく分けて2つの取り組みがある。
 1つはインターネットによるロボットの販売。メーカーから仕入れた製品を当社が販売し、プロモーションやマーケティングなどを積極的に行っていく。また、ネットを通じて様々なニーズを吸い上げながら、その情報をメーカーと共有し、新たなロボットの開発へつなげるといったことも行っていきたい。
 もう1つの取り組みがロボット用クラウドサービスの提供である。ロボットユーザーはこのクラウドサービスを活用することで、アプリケーションソフトのダウンロードや様々なインターネットサイトと連動した情報取得なども可能となる。また、このクラウドには音声認識や自然言語処理、画像処理などのソフトウエアシステムも構築する。それをロボットメーカーが活用することで、ソフト開発の負担を解消し、デザインやハード面の開発に注力できるという仕組みだ。サービス開始は15年夏ごろを予定している。

―― 現在の製品ラインアップは。
 岡本 現在、富士ソフトの「Palmi(パルミー)」、ユカイ工学の「BOCCO(ボッコ)」、プレンプロジェクトの「PLEN〓D(プレン ディー)」、ロボットゆうえんちの「プリメイドAI(アイ)」、デアゴスティーニ・ジャパンの「Robi(ロビ)組立代行バージョン」の5種類をラインアップしており、4月から予約を順次受け付けていく。もちろん、この5種類以外のラインアップも順次拡大していく方針だ。
 その新たな製品については、一般消費者の役に立つ製品であれば、無人飛行機(ドローン)や掃除ロボットなど、ロボットの種類にはこだわらないつもりだ。例えば、現在産業用ロボットを展開しているメーカーであっても、今後、技術を応用して民生用ロボットを開発したいと考えておられる企業であれば大歓迎だ。

―― 電子デバイスについてのお考えは。
 岡本 ロボットはセンサーやサーボモーターなど、電子デバイス製品の塊であり、当社としてもその重要性を認識している。もし、新型の高性能センサーなどをお持ちの企業があれば、「DMM.make ROBOTS」のロボットメーカーとコラボすることで、これまでに見たことがない新しいロボットを生み出す可能性も十分にありえるだろう。また、電子デバイスメーカーで新たに民生用ロボットに参入したいと考えておられるような企業があれば、我々と一緒にロボット市場を盛り上げていただければと思う。

―― 今後の方針を教えて下さい。
 岡本 当社としてはネット上でのプロモーションだけでなく、展示イベントなどを順次開催していき、まずは先に述べた5社のロボットの販売を拡大させることで、市場の拡大・活性化を図っていきたい。業績面ではロボット事業で15年に30億円、17年100億円の売り上げを目指していく。
 そして「DMM.make ROBOTS」を魅力のあるロボットプラットフォームとしてブランド力を高めていき、「ロボットを買う=DMM」というレベルまで引き上げていきたい。そうすることで参画していただける企業数も増えていき、ロボット市場拡大へとつながっていくだろう。

(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年3月26日号11面 掲載)

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