先日、5年ぶりの運転免許証更新のため、東京・神田の免許センターに行ってきた。免許更新自体は非常にスムーズに行われたが、更新手続きが完全予約制になっていたことに驚いた。5年前は当日センターに直接行っても大丈夫だったと思うが、この5年間でどうやら変わったようだ。
こうした完全予約制と言えば、10月に会期終了を迎えた大阪万博が思い出される。大阪万博では「並ばない万博」を目標に、入場およびパビリオンの予約体制が敷かれ、イタリア館など特に注目されたパビリオンでは実質的に予約しないと入館不可というような状態となった。
事前予約の浸透という点では、外食店の事前オーダーシステムも近年普及し始めている。商業施設についてもサービステナントのほか、フードコートなどの共用スペースについて、事前予約システムを導入するところもあるようだ。またEVの充電用ポートも、予約制をとっているところもある。
これだけ予約制をとるところが増える背景には、スムーズなサービスの提供が客・店双方で求められていることや、人手不足による省力化要求など、様々な業界が共通で抱える問題に行き着くのだろう。実際多くのサービスでは、予約制にしたことで既存の顧客、サービス提供者共に好評だったという例があるようだ。
一方で、こうした予約システムは主にスマートフォンなどを活用することから、そうした機器に馴染みが薄い高齢者層はどうしても排除される傾向が出てくる。実際免許更新手続きにおいても戸惑う高齢者は現地でも見かけており、そうした高齢者に対しては係員が色々説明していた。このように説明するスタッフが必要な光景を見ると、省力化という面ではどの程度効果が出ているのかとも思ってしまう。
またあらゆる行動に予約が必要となってしまえば、目的もなくちょっと店に立ち寄り、そこで新しいものを見つけ楽しむといった消費行動はとりづらくなる。大阪万博など激しい混雑が予想される施設では予約制の徹底も仕方がないことなのかもしれないが、そうした無目的な行動と消費が好きな自分としては、若干寂しくも感じられる。