商業施設新聞
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No.497

カーディーラーもカフェ化


若山 智令

2015/3/10

 先日、車の修理のためカーディーラーへ行った。そこの店は友人が勤めており、できたばかりの新店だ。商業施設のオープン取材は行くが、カーディーラーの店の取材というのはあまり機会がない。せっかくなので、待ち時間で店を見て回った。女性を意識し、女性目線に立った店という印象を持つと同時に、カーディーラーも「カフェ化」が進んでいると感じた。

 その店は幹線道路沿いに位置している。新車と中古車を扱っているため、敷地もそれなりに広い。店内は広々としていて、明るく開放感がある。これまでのカーディーラーは、どちらかというと薄暗く、こじんまりとしたものをイメージする人も多いだろうが、それとは真逆のものだ。こうした店のつくりは、商業施設と通じる部分が非常に多い。商談用のテーブル、イスもカラフルな色のものを使用していて良い。ここのメーカーは女性ユーザーがメーンであるため、女性が1人で店に来ることも多い。女性が1人でも入りやすく、また気軽に来てもらいたいという考えなのだと思うが、こうした配慮はとても良いと思った。

 雑誌も車関係のもの、スポーツ新聞などありきたりのものではなく、ファッション誌やグルメ雑誌などたくさんあった。待ち時間が長くなることもあるだろうから、これも良いサービスだ。

 席に着くとドリンクサービスがあった。しかもセルフではなくフルサービスだ。ドリンクが出てくると同時に、お菓子も添えられていた。明るい店内、ドリンクサービス、豊富な雑誌類など、カフェにいる感覚である。カーディーラーにも良い居心地、空間を求める「カフェ化」の波が押し寄せていると感じた。

東京・六本木でメルセデス・ベンツ日本が展開する「メルセデス・ベンツ コネクション(東京)」
東京・六本木でメルセデス・ベンツ日本が展開
する「メルセデス・ベンツ コネクション(東京)」
 以前、メルセデス・ベンツ日本(株)を取材したとき、担当者が「カフェ機能、お客様が店内でゆったりくつろげる空間というのは非常に重要だ」と話していた。同社は「メルセデス・ベンツ コネクション(東京)」を営業しており、同店は販売機能を持っておらず、本格的なカフェ、レストラン、ギャラリーなどが整備されている。カフェは、ドリンクプロデューサーにラテアート世界チャンピオンを迎えるなど、品質にもこだわっている。

 同社だけではない。レクサスも東京・南青山に「INTERSECT BY LEXUS」というコンセプトショップを展開している。同店はカフェ、ガレージ、ライフスタイルアイテムショップ、レストランを配置していて、レクサスの世界観が体感できる施設となっており、ここにもやはりカフェがある。しかも珍しいコーヒーを提供する、専門店にも負けないクオリティを持っている。

 ゆっくりくつろげる場所の代名詞であるカフェ。その範囲は喫茶店だけでなく、カーディーラーにまで広がっており、今後は我々が想像し得ないところも「カフェ化」していくかもしれない。
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