商業施設新聞
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No.960

女性の悩みを解決、ナプキン提供サービスが拡大中


安田遥香

2024/6/18

 女という性に生まれた以上、避けて通ることのできないのが「生理(月経)」。生理前の気分の落ち込みやイライラ、生理痛の度合いなどといった不調は人によって様々だ。ただし、「生理には出血が伴う」というのは身体構造上すべての女性が経験する。出血にまつわるトラブルは、多かれ少なかれ誰もが経験しているだろう。そうした女性共通の悩みを解決するサービスが、商業施設にも波及しつつある。

個室内にディスペンサー(左)とデジタルサイネージを設置する
個室内にディスペンサー(左)と
デジタルサイネージを設置する
 5月21日、医療系スタートアップの(株)ネクイノは、公共のトイレで生理用ナプキンを無料で提供するサービス「toreluna(トレルナ)」の展開を開始した。個室内にディスペンサーとデジタルサイネージが設置され、ユーザーはスマートフォンの専用アプリを操作することでナプキンを1枚受け取れるという仕組みだ。「トイレットペーパーと同等に使用できるように」という思いから、ナプキン提供時に費用は発生しない。協賛企業からの広告収入で収益を確保する。

 2022年9月以降、「イオンレイクタウンkaze」「東急プラザ渋谷」「なんばパークス」といった商業施設や鉄道駅、大学などで実証実験を行った。利用者からは好意的な声が多く寄せられたほか、施設からも「設置して良かった」との声が聞かれたという。今後も全国展開の商業施設を中心に、駅や空港、学校施設などへの導入を想定しており、24年度中に6000台の設置を目指していく。

 同様のサービスではオイテル(株)の「OiTr(オイテル)」が先行する。専用アプリでQRコードを読み取ると、個室内に設置されたディスペンサーからナプキンが1枚受け取れる。広告収入によりユーザーの利用料金は発生しない。21年に三井不動産(株)の「ららぽーと富士見」で実証テストを行い、同年8月に正式にサービスをローンチした。今では同社の「RAYARD MIYASHITA PARK」「三井アウトレットパーク横浜ベイサイド」などのほか、PARCO、マルイ、エキュート、イオンモールなどの他社商業施設、さらには大学や区役所などにも導入済み。自分が卒業したのと入れ違いだが、筆者の母校にも設置されたそうだ。

 トレルナの展開開始に先立ち、5月14日には生理に関するトークセッションが開催され、お笑い芸人の横澤夏子さんとYoutuberのシオリーヌさんが登壇した。ネクイノ社による事前アンケートでは「外出先で生理になった際に生理用品を持っておらず困った」と回答した人が61.7%に上ったという。また、回答者の20.5%は「外出先で急遽ナプキンを購入することになった時に売っているところを探すのが大変だった」と答えた。これに対し横澤さんは「特に駅のトイレで急に生理になったことが分かった時にどこに買いに行こうか悩む」とコメント。さらにシオリーヌさんは「鞄も小さいし家にはたくさんあるのに(いざ買いに行っても)大容量しか売ってない」と話し、これには筆者も心の中で首がもげるほど頷いた。トレルナやオイテルといったサービスが商業施設はじめあらゆる場所に浸透すれば、女性が突然の生理に悩むことなくいつでも安心して外出できる世の中になるだろう。
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