電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第567回

(株)堀場製作所 代表取締役社長 足立正之氏


24年は半導体と自動車が成長
28年度売上4500億円目指す

2024/3/15

(株)堀場製作所 代表取締役社長 足立正之氏
 (株)堀場製作所(京都市南区)は、2028年度までの中長期計画「MLMAP2028」を策定した。注力分野の1つに位置づけられる先端材料・半導体では製造プロセスおよび材料開発全般にフォーカスし、顧客サポートを強化していく戦略だ。代表取締役社長の足立正之氏に話を聞いた。

―― ご来歴から伺います。
 足立 京都市内に生まれ、立命館大学理工学部で学んだ。光物性を扱う研究室で結晶をテーマとした研究をしていたことから、当時結晶を製造していた当社を知り、入社した。入社後はガス分析計のコア部品である光学フィルターの研究開発に従事し、以来一貫して開発畑でキャリアを重ねてきた。11年に開発本部長に、18年に代表取締役社長に就任して今に至っている。

―― 社長として取り組んできたことは。
 足立 当社グループは自動車、環境・プロセス、医用、半導体、科学の5セグメントを持つ。それぞれが成長を続けてきたが、それに伴って横のコミュニケーションに課題が生じてきた。そこでもう一度「ホリバグループイズワンカンパニー」という経営の根幹に立ち戻るべく、組織のフラット化やコミュニケーションの活発化といったクロスセグメントを進めてきた。

―― 23年12月業績と24年12月期の見通しを。
 足立 23年12月期の売上高は前年度比8%増の2906億円、営業利益は同3%増の473億円だった。半導体向けが設備投資の調整局面でやや鈍化したものの、自動車向けが欧米、アジアで好調でプラス成長を達成した。24年12月期は売上高を3210億円、営業利益を520億円と計画している。半導体関連は調整局面の終息に伴い回復を予想しており、主力のマスフローコントローラー(MFC)を中心に販売拡大を目指す。また、デバイス製造現場におけるガスや水の計測ニーズ拡大に伴い、計測装置の好調も予想している。自動車関連は排ガス規制の強化や電動化、水素エネルギー化需要の増加で好調を見込んでいる。

―― 京都府福知山市に新工場を建設します。
 足立 新工場はグループ最大規模の約170億円を投資し、26年1月に竣工させる。MFCの生産能力を従来比で最大3倍に高め、堀場エステックの京都本社工場と阿蘇工場、福知山工場の3拠点体制で国内のBCP体制を強化する。福知山にはもともと開発拠点としてテクノロジーセンターを置いていたが、新工場の建設に加えてセンターにも約30億円を投資して研究開発設備を増強する予定だ。

―― 新中長期計画について。
 足立 28年度目標として売上高4500億円、営業利益800億円、ROE12%以上を掲げている。5セグメントで築いてきた連携を活かし、先端材料・半導体のほかエネルギー・環境、バイオ・ヘルスケアの3つのフィールドによる事業体制へと移行する。うち、先端材料・半導体は売上高2350億円、営業利益率25%を目標とする。
 注力分野はいずれも将来にわたって必要とされていくもので、当社の技術が貢献していくことができる。半導体分野でいえば、MFCや薬液濃度管理、異物検査といった製造現場に加えて、クリーンルームや排水・排気の管理によるスマートファクトリー化ソリューションを展開できる。
 また、先端材料向けではCMPスラリー評価やウエハーの異物分析、成膜・膜厚分析などによる研究開発への貢献が可能だ。水素エネルギー分野では、水電解・水素製造用の評価装置、燃料電池向けの評価装置など水素の製造から利用シーンに至るまでの様々なアプリケーションを持っている。
 こうした既存のセグメントで培った製品・技術を組み合わせ、より多彩な顧客の困りごとを解決できるソリューションへ展開させる。並行してグローバルレベルにおける経営基盤の強化も進めていき、持続可能な社会に貢献する会社を追求していきたい。


(聞き手・特別編集委員 泉谷渉/副編集長 中村剛)
本紙2024年3月14日号1面 掲載

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