電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第93回

ローム(株) 代表取締役社長 澤村諭氏


自動車・産機向けが34%に
アナログパワーで世界トップ目標

2014/10/3

ローム(株) 代表取締役社長 澤村諭氏
―― 自動車・産機市場に注力しています。
 澤村 従来はデジタル家電向けのカスタムLSIが主力だったが、成長市場である自動車・産機へのシフトを図っている。自動車市場向けでは、これまで培ってきた品質と信頼性を武器に電源ICやディスクリート、抵抗器などで着実に売り上げを伸ばしてきた。近年は、インテル、フリースケールなどの大手ICメーカーと協業し、各種デバイスのソリューション提供も開始している。
 13年度現在の自動車・産機市場向け売り上げ比率は34%で、さらなる拡大を目指す。自動車市場の拡大が寄与し、14年度第1四半期決算は、売上高が前年同期比10.5%増の884億1700万円、営業利益が同約5倍の92億7600万円と好調だった。

―― 半導体から電子部品まで幅広く手がけています。
 澤村 当社は抵抗器からICまでを一貫して手がける、非常にユニークなメーカーだと自負している。抵抗器からディスクリート半導体、ICまでをセットで提案し、システム化できるのが特徴だ。例えば中国のスマートフォン(スマホ)向けには、近接スイッチなどのセンサーと小型ディスクリート部品をセットで提供している。

―― 半導体の製品戦略を教えて下さい。
 澤村 半導体事業ではLSIとディスクリート半導体を車の両輪として位置づけている。ディスクリートでは高いシェアを持ち、特に小信号ダイオードで世界トップクラスの地位を獲得している。他社が撤退している分野でもあり、そこに競争優位性があると考えている。今後も事業強化を図っていく。
 一方のLSIは、「アナログパワーで世界一を目指す」という目標を掲げている。電源LSIやモータードライバーLSIなどのパワーマネジメント分野であり、前述のとおり大手ICメーカーと組んで周辺部品を含めた一貫での展開を図っている。

―― SiCパワーデバイスも発展が期待されます。
 澤村 3~5年後に大きく花開くと見ている分野だ。当社はSiCウエハーからデバイス、モジュールまでを一貫生産できる垂直統合体制を確立している。信頼性や供給安定性を求められる自動車・産機分野に展開するには、大きなアドバンテージになると考えている。ウエハーの特性改善に加え、高耐圧や高電流技術にも優位性を持っている。当社はSiCデバイスを用いる製品を内部で持っていないので、顧客とタイアップして「SiCでなければならない」用途を開拓して事業拡大を進めていく。

―― LEDについての取り組みを。
 澤村 チップから照明器具までを一貫して手がけている分野だ。電源ICなどの周辺部品もセットで提供できる点に強みがある。住宅メーカーなどのBtoB市場向けにトータルソリューションとして展開している。将来的には通信、センサー機能と組み合わせたHEMS連携システムとしての展開も考えている。

―― 中長期的な事業目標を。
 澤村 安定的に事業拡大を続けていくには、売り上げだけでなく、利益を伴わなければならないと考えている。売り上げでは4000億円を突破し、過去最高を目指す。利益面では足元の倍にあたる営業利益率15%の達成を早期に実現したい。
 事業戦略としては、従来の「何でもやる」という姿勢からアナログパワー分野への集中を図っている。その過程で必要があれば、そぎ落としも行わなければならないと考えている。


(聞き手・本紙編集部)
(本紙2014年10月1日号1面 掲載)

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