―― 1985年から約30年で売上高が40倍以上と飛躍的な成長を遂げてきました。その要因は。
小澤 当社は創業者のフェリックス・ザンドマンが発明したフォイル抵抗器の製造・販売を目的に1962年に設立された。その後、85年ごろから幅広い製品をラインアップした電子部品メーカーになるため戦略的な企業買収を重ね、それとともに業績も飛躍的な拡大を遂げてきた。現在はディスクリート半導体と受動電子部品のリーディングメーカーだと自負している。
ここ数年ではHiRel Systems LLC(カスタムマグネティックス)やMCB Industrie S.A(パワー抵抗器関連)を買収している。
さらに、2014年6月には日本のタンタルコンデンサーメーカー、ホリストンポリテック(株)の買収を発表。これによってタンタルコンデンサー技術を拡充し、グローバル市場での地位をより強固にすることができると期待している。
―― 今後の買収戦略について。
小澤 成長戦略において、事業を補完する技術の取得を重要な戦略の1つと位置づけている。しかし一方で、「Organic Growth」をキーワードに既存ビジネスにも積極的に投資している。これにより新製品・新技術の開発を加速し、マーケットシェアの拡大、アジア市場での特徴ある製品市場を創出。さらに、テクニカルリソースの拡充などにも注力していく構えだ。
―― 幅広い製品ラインアップも強みですね。
小澤 ダイオードやMOSFET、オプト製品などの半導体製品からキャパシタや抵抗器、磁気コンポーネントまで、他社にない幅広い製品を取り揃えている。だが、やみくもに展開しているわけではない。当社の持つ優れた技術力による高い性能と信頼性が生かせる製品分野に注力している。これによってダイオードやMOSFET、SMD抵抗器など、多くの製品でリーディングメーカーの地位を確立している。
当社が手がける製品群は汎用品だが、価格競争を前面に出すのではなく、製品力でお客様のお役に立つことを目指している。
―― 資本的支出(CapEx)として今後、年間で1.7億ドル以上を計画しています。
小澤 内訳としては、研究開発、設備投資、営繕費などだ。当社は20カ国に製造拠点を構えており、今後も生産能力の拡大、先端装置の導入による製品の高機能化などを進めていく。
研究開発では、新製品・技術の開発を加速させている。半導体関連は、MOSFETでは高電圧品の次世代スーパージャンクション技術、中電圧品ではデュアル・トレンチ技術「ThunderFET」など。また、超高速ダイオードやTVS製品、eSMPパッケージ群のさらなる拡張、パワーモジュールではIGBTなどを開発中だ。
―― 今後の成長戦略について。
小澤 13年の売上高構成比率は、自動車22%、テレコム10%、産業34%、電源6%、軍事・航空5%、医療4%、コンピューティング10%、コンシューマー9%となった。地域別では、米国25%、欧州37%、アジア38%という構成だ。
アプリケーション分野は今後もバランス良く展開していく。地域別ではアジア市場がさらに伸びると見ている。欧米企業がアジアへ進出する際など、当社がエネルギー分野(風力、太陽光発電)、コンシューマー分野(白物家電、ワイヤレス)、交通(自動車、電車)で培った高い技術力を強みに、ローカルデザインを強力にサポートする。
エネルギーや交通では特に長期信頼性が求められる。そこで培った高品質、高信頼の当社デバイスはお客様の製品開発・差別化に寄与できると自負している。
(聞き手・本紙編集部)
(本紙2014年7月16日号1面 掲載)