商業施設新聞
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No.444

日本橋の変貌


永松 茂和

2014/2/10

 これまで街が大きく変わるごとにその街をレポートしてきた。東京都では東京駅周辺地区、東京スカイツリー周辺、浅草駅周辺、渋谷、台場エリア、秋葉原周辺エリアなどが大きく変わった地域である。東京エリアは昔から経済の中心であるため、投資が集中するのは当然であるが、ここ最近ではアベノミクスによる株高、円安に加えて、2020年のオリンピック開催が東京に決まったことで、国内外からの投資にさらに拍車がかかってきた。

 そして最近注目されるエリアの1つが、日本橋地区である。東急グループによる渋谷駅、西武グループによる池袋、三菱地所による丸の内と同様に、日本橋エリアは三井グループの城下町であり、以前から開発が活発である。

低層部を揃え整然とした街並み
低層部を揃え整然とした街並み
 その開発の中核である三井不動産が、先ごろ日本橋再生計画の進捗状況と今後の計画について明らかにした。同地区の再生コンセプトは「~残しながら、蘇らせながら、創っていく~」というものであり、それだけ日本でもさまざまな意味で歴史のある街だといえる。日本橋地区は古くから5つの街道の出発点として繁栄しており、江戸時代には川沿いに魚河岸、道沿いには商家などが並んだ江戸の商業の中心として発展した。

 この地区には日本銀行、証券取引所があるため、全国の銀行、証券会社が集中する日本の金融・経済の中心としても位置づけられ、今でもその状況は変わらない。

3月に開業するコレド室町2
3月に開業するコレド室町2
 日本橋では、中央を貫く中央通り沿いを中心に開発が進められている。景観を維持するため、低層部の高さを揃えることによりファサードに統一感を持たせており、他の都内の街にはない美しい街並みといえる。このほか福徳神社の再生、仲通り、江戸桜通りの整備などが計画されている。
 商業施設では従来のコレド室町につながる形でコレド室町2、コレド室町3が予定され、日本橋界隈だけでなく全国各地から老舗のテナントが出店する見通しだ。ただ、一つ気になるのは、シネマコンプレックスがビル内に入居することだ。日本橋という街に合うかどうかという疑問もわくが、これは老婆心なのかもしれない。

上空の高速道路が撤去され、大きく変わる日本橋
上空の高速道路が撤去され、大きく変わる日本橋
 一方で最も興味があるのは日本橋の改良計画だ。日本橋は、昔からお江戸日本橋として親しまれ、地域の象徴的存在であるが、この上空には1969年の東京オリンピック当時に首都高速道路が建設された。うっとうしく暗いイメージがあり、きれいな川でも汚く感じてしまう。この邪魔な道路を官民挙げて取り払い、地下に高速道路を通すという大掛かりな事業が計画されているのだ。区間は数kmであるが、難工事になるのは容易に予想がつく。身近なところでは韓国の清渓川復元が日本橋川の復元と同様に高速道路を取っ払う工事として記憶に新しく、一気に街並みが変わったことを記憶している。この難工事をわずか2年で完了したというから驚きだ。

 先ごろ2020年の東京五輪開催が決定した。韓国の工事環境とは異なるものの、日本橋川沿いの改良工事により、街が大きく変わることは確実だ。
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