商業施設新聞
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No.440

出不精


松本 顕介

2014/1/7

 今、商業施設などでは「経験」や「体験」をキーワードにして、様々な取り組みを通じて、その商業施設に足を運んでもらうことを目指している。この方向性には同感である。しかし、小生も頭では理解しているが、ちょっとした所用や腰の重さなどに阻まれ、足が向かないことも多い。これまでもせっかくのチャンスをみすみす逃していることが多い。

 出場を予定していたあるマラソン大会。当日目が覚めると、雨。とたんに気持ちが萎えた。昨年は秋になっても暑い日が続いていたが、なぜかその日は冷えた。今年買ったお気に入りのランニングウエアで快走することを想像していたのだが、その目論みがまず崩れた。寒さ対策が必要だ。スタート地点に立った時に寒いだろうな、ゴールした時にびしょ濡れだろう。身体が冷えて風邪をひいてしまうのでは……。今週は取材や特集が立て込んでいるのに、仕事に穴をあけてしまう。勇気ある撤退と、我ながら英断であると、自画自賛して再び布団に潜り込んだのである。

 昨年暮れ、日本武道館で行われたジョン・レノンスーパーライブに行った。年末進行で原稿の締め切りが立て込んでいる時期である。「おい、行っている暇はあるのか」と自問自答しながら行ったわけであるが、やはり行ってよかった。十数年ぶりに訪れた日本武道館の佇まいに少し感激し、客層を眺めてみると、意外と年配が多いとの発見。出演した多数のアーティストがジョン・レノンナンバーを歌い上げるわけだがそれがすばらしく、ほとんどが初めて生で聴くアーティストばかり。オリジナルも聴きたくなった。その時思った。ああ来てよかったなと。

「イオンモール幕張新都心」内覧会には参加できた。今年はもっと時間をつくって出席したい
「イオンモール幕張新都心」内覧会には参加できた。今年はもっと時間をつくって出席したい
 ショッピングセンターや新店などの、オープン前に報道陣に公開する内覧会。締め切り間際だったり、校了日とぶつかっていたりと、結果行けずじまいという施設も数知れず。オープンしてから行くからいいかと、自分を納得させるものの、結局は訪れなかったことも多い。しかしなんとかやりくりして来てみると、発見もまた多い。予想に反してよく仕上がっていた、その反対もまたしかり。関係者の話を聞くこともできたりと、来て 見たのと見なかったとの差はあまりに大きい。不思議と訪れた施設の方がオープンからしばらくしてからも覗いてみたくなる。

よしもとの芸人にも会えた
よしもとの芸人にも会えた
 きっと、キャンセルしたマラソン大会も、雨に濡れて大変だっただろうが、行けば行ったでその度合いこそはわからないが充実感、達成感があっただろう。あるいはタイムがまるで出ず、最後はへとへとになってゴールに辿り着く情けない姿となったかも知れないが、少なくとも自分の記憶に刻むことはできたはずだ。

 今年は「出不精を捨てよ 町へ出よう」をモットーにしようと思うのである。
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