海外を訪れる際、外国人がその国で初めて足を踏み入れる場所はたいてい現地の空港になる。そのため、空港のシステムやサービスレベルが訪問国に対する印象の良し悪しを決めてしまう場合もあるだろう。
韓国では、ほとんどの旅行者が国の第一の玄関口となる仁川国際空港を通過している。この空港を運営する韓国空港公社は、空港の持つこうした役割を常に意識し、利用者へのサービスを徹底している。
空港では、北端エリアで第2旅客ターミナルをコア施設とする第3期拡張工事が計画されており、2017年の完成を目指している。13年9月には起工式が行われた。規模は、全体で地下2階地上5階建て延べ床面積38万4000m²であり、運営中の第1旅客ターミナルの77%に相当する。新ターミナルの開港により、年間旅客処理能力は現状の4400万人から17年には6200万人に増えると見込まれている。
仁川国際空港は、ソウル市内にある金浦国際空港の国際線を移転して建設された。工事は1992年に始まり、2001年に国際空港として商業開通した。当時は離島で交通の便が悪いという地理的な課題と、霧が発生しやすいなどといった交通環境面への懸念から反対の声も高かった。しかし、開業から12年を経た現在は、韓国特有の「パリパリ(早く早く)」という勢いで急成長を遂げて、アジア最大のハブ空港に発展した。
仁川国際空港のシステムは、とにかくその速さに特徴がある。空港内での無駄な手続きを省き、便利さ、スピーディーさを追求している。建設中の第2ターミナルでは、さらに長所を伸ばし、フライトのチェックインと出入国手続きの時間を大幅に短縮する自動出入国手続き台を増設する。また、先端無人チェックイン・手荷物委託(self bag drop)システムや、顔面認識自動イミグレーション設備なども導入する考えだ。
第2ターミナルは、第1ターミナルの北側約2.4kmの地点に建設されるが、別途の車輌進入路が連結されるほか、空港駅やバス停などを備えた第2交通センターが同時に構築される。第1ターミナルから第2ターミナルまでは車で10分、電車では4分余りの距離にあり、乗り継ぎ客は地下シャトルトレイン(IAT)を利用して5分で両ターミナルを行き来できる。
去る02~08年の第2期建設プロジェクトの際に4000mクラスの滑走路を完成させた仁川国際空港が再び拡張工事に踏み切ったのは、旅客需要が予想よりはるかに早く増えているためだ。17年には、現施設は飽和状態になると予測されている。さらに、「アジアのハブ空港」のタイトルをめぐって熾烈な競争を展開する成田空港、チェクラップコク空港(香港)、チャンギ空港(シンガポール)などが大規模拡張工事を検討していることも開発に刺激を与えた。
韓国空港公社では、今後の空港需要によっては、2035年までに旅客処理能力を年間最大1億人まで増やすマスタープランを計画している。18年には平昌(韓国江原道)冬季五輪が開催される。「88ソウルオリンピック」の再現を夢見つつ、仁川国際空港が世界中の人々を歓迎する韓国の玄関口として活躍できることを期待している。