猛暑の最中に麺業界が熱い仕掛けを繰り広げている。丸亀製麺、一風堂、イートアンドグループが新メニューと新業態、イベントなど、旨さと楽しさで猛暑をかき消してくれた。(株)丸亀製麺(東京都渋谷区)は、「丸亀シェイクうどん」(振って混ぜて食べる持ち帰りうどん)の夏メニュー「極冷 凍らせ塩レモンぶっかけうどん」などを7月中旬に発売し、東京・六本木ヒルズで夏祭りイベント「丸亀シェイクうどんサマーナイト」を開催した。テレビCMに出演する女優・原菜乃華さんと、シェイクうどんダンスを振り付けした人気ダンスグループのパワーパフボーイズが登場し、さらに山口寛社長も加わって「Shake Cup!」の音楽に合わせてうどんダンスを披露した。涼しげな浴衣の衣装だったため、春の発表会時のような切れの良いダンスではなかったが、食前や食後のシェイクうどんダンスは、健康増進や消化に良いと感じた。また同社は、初のドライブスルー店を群馬県渋川市に6月下旬に出店して集客している。暑い群馬にも涼と健康を提供しているにちがいない。
博多ラーメンの「一風堂」を展開する(株)力の源ホールディングス(福岡市中央区)は、ラーメン店「人類みな麺類」を運営するUNCHI(株)(大阪市淀川区)とともに、「一風堂」×「人類みな麺類」コラボラーメンを販売した。「一風堂 梅田店」「一風堂 池袋店」「人類みな麺類 大阪本店」「人類みな麺類 東京本店」の4店で、特別共同開発のラーメン「人類みな一風堂」を、6月15~21日の期間限定で販売した。「一風堂」のなめらかな豚骨スープに、「人類みな麺類」の醤油ベースのかえしや名物の厚切りチャーシュー、低温調理したピンク色の薄切りチャーシューを融合したメニューで、「一風堂」はこれに合わせた専用の中太麺も開発した。筆者は、一風堂池袋店の試食会に出席した。客たちはスープや具材に加えて、中太麺と細麺の食感の違いまでを楽しんでおり、さすがラーメン通の集まりだと感心させられた。次回の開催も期待したい。
大阪王将を展開する(株)イートアンドHD(東京都品川区)では、グループ会社の(株)アールベイカーによるベーカリー・カフェ「R Baker エキアプレミエ和光店」の「玄米カツカレークロワッサン」が、カレーパンの日本一決定戦「カレーパングランプリ2023」のバラエティ部門で金賞を受賞した。同グランプリは(一社)日本カレーパン協会の主催で、「いま一番美味しいカレーパンはどれだ?」を合言葉に、8回目の開催となった。「玄米カツカレークロワッサン」は、パイ生地のような外観のクロワッサンの中に、玄米粉を加えて風味豊かな衣をまとったカツと、甘辛カレーが入っているカレーパン。サクサクのパイ生地とカリッと揚がったカツカレーで、食感と旨味を二重に楽しめる仕上がりになっている。イートアンドグループは、大阪王将の印象が強いが、中華料理に劣らずカレーパンも旨い。
うどんやラーメンなど麺業界(+カレーパン)による新メニュー開発や新業態、イベントの活気で、猛暑の憂さを晴らしてもらった気分を味わった。秋には、さらに食欲を掻き立ててくれる新メニューの開発と新業態を麺業界には期待したい。