(株)ファーストリテイリングおよびグループブランドである「ユニクロ」は6月20日から、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の手工芸品ブランド「MADE51(メイドフィフティワン)」の販売をスタートした。難民が故郷の伝統的技巧で作成した手工芸品を販売するもので、取り組みを通じて約150人の難民とその家族の生計支援を目指していく。
メイドフィフティワンは、2018年にUNHCRが立ち上げたグローバルブランド。故郷の伝統技術を継承する難民たちが制作した手工芸品を世界市場に流通させることで、難民の自立と生活再建を支援する。世界フェアトレード連盟(WFTO)とも協力しており、難民の職人たちは、避難先の団体や企業のサポートを受けながら、フェアな労働環境で働ける。
ファーストリテイリングは06年からUNHCRとの連携をスタートし、世界の難民や避難民へ衣料支援を行ってきた。11年には、アジアの企業としては初めてUNHCRとグローバルパートナーシップを締結。店舗で回収した衣料の寄贈に加えて、難民の自立支援プログラム、ユニクロやジーユーの店舗での難民雇用などを行っている。また、21年からはメイドフィフティワンの支援もスタートした。
今回、南スーダンの難民の女性が制作した、キーチェーンとブレスレットを販売する。展開店舗は、22年には都内5店で展開していたが、これを9都道府県23店に拡大。さらに23年秋冬のホリデーシーズン以降は、世界各国・地域へ販路を広げる計画だ。販売価格のうち28%程度はUNHCRに寄付し、加えて制作に携わった女性たちにも対価を支払う。
UNHCR駐日事務所のナッケン鯉都首席副代表は「1億1000万人の難民・避難民が地球上におり、第2次世界大戦以後増え続けている。日本の人口に近い数の方が故郷を追われている状況だ」と語る。またUNHCRのホームページによると、22年末の時点で、シリア、ウクライナ、アフガニスタンの3カ国出身の難民だけでも、世界の全難民の52%を占めるという。中でもウクライナについては、21年末時点では難民数が約2万7300人であったが、22年末には約570万人まで増加しており、第2次世界大戦以降全世界で最も急速に広がった難民危機ともしている。
今回の取り組みは、ユニクロでメイドフィフティワンの商品を購入するだけで難民支援ができるというもののため、普段支援する機会が少ない人にとってもチャレンジしやすいだろう。こういった取り組みを通じて、社会や世界に良い影響を与え、より多くの人が健やかに過ごせる世界が来ることを祈っている。