(株)和僑ホールディングス(東京都中央区)は、飲食店運営やコンサルティングなどを手がけている。店舗運営は東京・日本橋茅場町に焼き鳥などの会席料理「不二楼」や新江戸前鮨「鮨 不二楼」(会員・紹介制)を構え、その派生ブランドとして4月、東京駅前の新丸ビルに新業態「鮨&BAR 不二楼」を開業した。これらに加え、大衆居酒屋「ヒノマル食堂」、韓国料理店「ペゴッパヨ」、新潟ラーメン店「なおじ」など多ブランドを展開する。同社代表取締役社長の坂田敦宏氏に聞いた。
―― 店舗運営事業を。
坂田 当社は創業者の高取宗茂が福岡・博多天神で屋台のラーメン店を始めたところからスタートし、その後、高取の地元・佐賀県をはじめ九州で「炉端焼 みさお」を展開している。現在は東京・日本橋茅場町にある不二楼や鮨 不二楼を主力とし、4月に新丸ビル7階に鮨&BAR 不二楼をオープン。ほかにもヒノマル食堂、ペゴッパヨ、なおじなどを有する。
―― 各ブランドの概要は。
坂田 ヒノマル食堂は九州から東京進出するにあたって作った大衆居酒屋業態で、現在は有楽町・新橋エリアに複数店をドミナント展開している。なおじは元々あったブランドを創業者が引き継ぎ、ブラッシュアップしたうえで店舗を拡大した。ペゴッパヨは21年11月に1号店を開業した韓国料理店で、今後注力していきたいブランドの一つだ。
―― 鮨&BAR 不二楼について。
坂田 日本橋茅場町の不二楼、鮨 不二楼にバーを併設し、カジュアル化した業態だ。カジュアルだが、鮨にはこだわっており、さらに不二楼の持つ和の雰囲気がお客様に伝わるような設えとした。4月にオープンしたばかりで、メニューやオペレーションなども試行錯誤しながら運営し、直近ではランチで海鮮丼を始めるなど新しい取り組みも行っている。改善を重ねながら、より良い店舗としていきたい。
鮨&BAR業態は、新丸ビルでフォーマットをきちんと仕上げ、“日本酒BAR”のような形で、FCで海外展開していきたい。全世界のハブとなる空港に出店したいという思いを創業者の高取も私も持っていて、それに向けてしっかりブランドを構築していく。
―― 客層、客単価は。
坂田 土地柄、外国人観光客のお客様もいらっしゃるが、現状は日本人のお客様が多く、年齢層は35~55歳がボリュームゾーンとなる。客単価は昼と夜で異なるが、6000円前後で想定どおりだ。
―― ペゴッパヨの展開は。
坂田 ペゴッパヨ、なおじはチェーン展開として拡大していくブランドと考えている。ペゴッパヨは1年半前、商業施設のラチッタデッラに1号店「川崎本店」を開業し、その後も出店を重ね、現在は「川崎西口」「門前仲町」「蒲田東口」「蒲田西口」「鶴ヶ峰」の6店が営業中。夏に「熱海」がオープン予定で7店となり、23年内には10店体制を目指したい。
ペゴッパヨはFCを中心に展開する方針だ。現在は加盟店様の業態変更、他社FCからの転換などで出店するケースが多い。ペゴッパヨをオープンした加盟店様は、従前の店舗より売り上げが2.5~3倍に伸びており、評判も上々だ。
韓国料理はブームで流行り廃りがあり、お客様が入る店、入らない店がはっきり分かれる。だが当社の場合は、味とブランドをしっかりつくったうえでスタートし、特に味は絶対の自信があり、各店とも連日満席の状況だ。内装にもこだわり、本当に韓国の屋台にいるような雰囲気で、韓国のK-POPが流れていて、“韓国感”が味わえる。
―― なおじなどのラーメン業態は。
坂田 なおじは私が社長に就任した6年前、店舗は新潟県内のみだったが、5年ほど前から新潟県外への進出を開始し、5月時点で新潟のほか東京、神奈川、大阪、沖縄などにFC含め13店、6月にも新店が「世界自然遺産」である徳之島にオープンして14店となった。今後も出店を続けていき、23年内に20店体制としたい。
ラーメン業態はグループ会社が新潟に麺工場とスープ工場を持ち、これを活用してラーメン店のプロデュース業も行っている。今、プロデュース業では熱海の「ゴールデンアイ」という金目鯛のラーメン店が好調で、土産品の物販が決まり、商業施設から誘致を受けたりと成長している。
―― 将来の店舗展開を。
坂田 出店にあたっては、例えば商業施設であれば施設によって求められるニーズやターゲットが異なるため、既存ブランドだけでなく、新しい業態の開発にも取り組んでいきたい。前述のとおり、チェーン展開で拡大していきたいのは、ペゴッパヨとなおじで、23年内にペゴッパヨは10店、なおじは20店体制を目指す。主力の不二楼は、日本橋茅場町の本店と新業態の鮨&BARを成長させるなど、ブランディングに注力する。
(聞き手・副編集長 若山智令)
商業施設新聞2503号(2023年7月11日)(8面)
経営者の目線 外食インタビュー