大手調査会社のOMDIAは、6月22日午後に東京都中央区の室町三井ホール&カンファレンスにてセミナーイベント「Global Semiconductor Day Summer 2023 ~変化する半導体サプライチェーン 日系企業のとるべき戦略~」をハイブリッド形式で開催する。コンサルティングディレクターの杉山和弘氏に注目ポイントなどを伺った。
―― 通算5回目の開催になりますね。
杉山 本イベントを開催し始めて3年目となるが、この間に半導体市場は急速な変化と成長を遂げている。新型コロナ以降、GXや再エネ、EVなどカーボンニュートラル実現への投資が進む一方で、AR/VRやチャットGPTの登場でデータオリエンテッドな社会が構築されつつあり、このなかで半導体は重要物資としての位置づけをさらに強くしている。
―― 今回議論の対象となるテーマは。
杉山 従来一貫しているテーマではあるが、改めて「サプライチェーンの変化に対応するため日系企業がとるべき戦略的アプローチとは」をメーンに議論したい。
対中規制がありつつも、米国の半導体メーカーは依然として中国で積極的にビジネスを展開している。中国は、先端半導体向けの製造装置を輸入できなくなったが、一方でレガシー向けの投資は非常に旺盛で、装置メーカーの売上高に占める中国の比率はかつてないレベルに上がっている。
こうした様々なファクトを参加者全員で共有し、今後ビジネスをどう進めるべきか考える場としたい。現在、登壇者を含めてプログラムの詳細を詰めているところだ。
―― すでに決定しているセッションは。
杉山 当社シニアコンサルティングディレクターの南川明氏がマクロ経済や半導体の市況を解説する。半導体市場は足元でダウンサイクルの真っ只中にあるが、その回復時期やキーアプリの動向などを話す。
また、私は中国にフォーカスした内容で講演させていただく予定だ。自動車やデータセンターといった伸びているアプリを中国の視点からお話しするとともに、世界における中国半導体のポジションについても整理するつもりだ。
―― 他の登壇者は。
杉山 国際政治・経済に詳しい東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授に講演していただく。鈴木教授は安全保障がご専門で、経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略検討会議」にも加わっておられた。
さらに、経済産業省の幹部にもご登壇いただく予定で、先般のG7を経て日本が進める半導体強化策の最新情報をお話しいただけると思っている。
―― パネルディスカッションも開催予定ですね。
杉山 電子デバイス産業新聞の稲葉雅巳編集長をモデレーターに迎え、アナリストや装置・部材メーカーをパネリストとした構成で開催する。改めて半導体市況の回復時期や今後の展望を整理するとともに、7月に発効することが決まった先端半導体製造装置23品目の輸出規制、プレーヤー視点に立った影響度などについて活発に議論したいと考えている。
―― 大変楽しみな内容ですね。
杉山 様々なファクトを正しく理解したうえで、日本企業には勝ち馬に乗ってほしい。米中の対立や米国のエンティティリストを過度に意識するあまり、日本企業のなかには自主規制をしすぎているところも見受けられるが、もっと積極的に打って出ないと波に乗り遅れる。日本政府の支援を活用するだけでなく、欧米政府からの補助金を受けて海外へ打って出るくらいの意識がなければ、世界的な投資の大競争から取り残されてしまうだろう。
(聞き手・特別編集委員 津村明宏)
◇ ◇ ◇
本セミナーの詳細・参加申し込みは
https://omdia.oatnd.com/global-semiconductor-day-summer2023まで。