公益財団法人ひょうご産業活性化センター・兵庫県が主催する「兵庫県首都圏企業誘致セミナー ~企業が選ぶ兵庫の魅力~」が11月22日東京都内のホテルで開催された。冒頭兵庫県知事の齋藤元彦氏が「企業が選ぶ兵庫の魅力」のテーマで講演し、兵庫県の概要や魅力、目指す方向性などを説明した。
講演で知事はトップセールスが「重要であると考える」とし、誘致の方向性と県政がどこを向いているかなどを説明。歴史・文化・伝統がある、交通の利便性が高まっているなどの兵庫県の魅力を紹介した。また、「躍動する兵庫」を目指し、(1)新しい成長の種をまく、(2)地域の価値を高める、(3)安心安全の網を広げる、の3つの視点から持続的に成長・発展する兵庫を築き、人や投資をもっと惹きつけられる地域づくりを目指すとした。
「人・モノ・投資・情報が集まる兵庫」に向けた取り組みとして、(1)次世代産業の創出、(2)兵庫版SDGsの推進、(3)2025大坂・関西万博を見据えた取り組み、(4)市街化調整区域における土地利用の促進を実施する。
(1)では、ドローンや空飛ぶクルマなどの革新的技術の実用化やビジネスモデルの確立を支援。ドローンサミットを全国初開催している。また、Spring-8、ニュースバル、スーパーコンピューター富岳などの科学技術基盤を活用し先端半導体や電池分野の技術開発を促進する。脱炭素・水素に向けては、播磨地区で関西電力が水素サプライチェーンを構築していく方針を表明している。さらにスタートアップへの投資の実例やマッチング例などを紹介した。
(2)ではオール兵庫でSDGsを推進し、社会課題の解決と地域活性化の両立を図る。兵庫産業SDGs推進宣言事業として中小企業のSDGs宣言を登録し、取り組みを支援しており、登録企業は143社で中小企業のためのSDGs啓発セミナーも開催した。
(3)では、大阪・関西万博を兵庫に人を呼び込む絶好の機会と捉え、フィールドパビリオンを展開する。また、兵庫の大阪湾ベイエリアには人口が集積していることから、水上交通網を含めた交通インフラの整備を実施する。25年には大阪・関西万博と瀬戸内国際芸術祭が同時開催されることから、関西圏と瀬戸内圏の結節点としての役割を強化していく。
(4)では市街化調整区域に立地の要望が多くあることから、規制緩和を抜本的に行っていく。
知事は「兵庫のブランド化をやっていきたい。兵庫で作られた物、サービスのブランド力を高めていくことで、価格決定力・賃金の向上を図ることが重要である」と説明。「これから兵庫県政をしっかり前に進めていく」とアピールした。
基調講演では、川崎重工業(株)執行役員 水素戦略本部副本部長の西村元彦氏が「国際水素サプライチェーン構築に向けた取り組み ―兵庫県における世界初の実証事業―」のテーマで、エネルギーを取り巻く状況や水素利用への動き、水素サプライチェーンのコンセプトや現在の状況などを紹介。日本は世界に先んじて水素活用を進めており、日本企業をメーンに活用を進めていることから、「日本は技術で勝ってビジネスで負けるといわれるが、水素ではこのようなことはないようにしたい」と語った。
第2部の神戸大学大学院経営学研究科教授の忽那憲治氏をファシリテーター、(株)日本総合研究所調査部上席主任研究員石川智久氏、プライム プラネット エナジー&ソリューションズ(株)経営本部専任部長の森島隆太氏、P&Gジャパン合同会社広報渉外執行役員の住友聡子氏、一般社団法人コード・フォー・ジャパン代表理事の関治之氏をパネリストとして、「企業が語る兵庫の立地環境」のテーマでパネルディスカッションを行い、兵庫県の魅力、課題などを話し合った。