愛知県などが主催した「愛知県産業立地セミナー2024 IN 東京」が11月12日に東京都内のホテルで開催された。愛知県知事の大村秀章氏が主催講演したほか、県内18市町の首長などが講演し、愛知県の魅力や優位性などを紹介し、広く立地を呼びかけた。
セミナーでは、まず大村知事が「産業首都あいちを目指して」~国際イノベーション都市への飛躍~のテーマで講演した。
愛知県は製造品出荷額などが46年連続で全国1位となり、2022年は過去最高の52兆4098億円と初めて50兆円を突破した。自動車産業の集積も進んでいる。自動運転の社会実装に向けた取り組みでは全国初となる、交通量の多い都市部における定期運行を開始した。航空宇宙産業の集積も進んでいるが、ボーイングの生産状況などにより、一時期よりは比率は減っている。一方でH3ロケットは愛知県内で開発・組立を行っている。
ロボット産業では、高校生ロボットシステムインテグレーション競技会を実施し、人材の創出に取り組んでおり、24年は12月14~12日に開催する。また、25年には国際的なロボット複合イベントのWorld Robot Summit 2025愛知(ものづくりロボットチャレンジ)が開催される。
交通インフラも充実しており、空路・海路・陸路のすべてにおいて高い優位性を誇っている。27年度には中部国際空港代替滑走路の供用を開始する予定で、将来は新たな埋立地に新滑走路を整備する。
カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、NEDOが「洋上風力発電の低コスト化プロジェクト フェーズ2(浮体式実証)」の実証海域として太平洋側では唯一「愛知県田原市・豊橋市沖」を選定。15MW超の風力発電機を1基設置する計画で、蒲郡で組み立てて計画地へ運ぶ予定。「できるだけ早期に実施するよう要望しているが、これだけの規模の浮体式は開発に時間がかかるので早めることができない」(大村知事)としている。
講演では、産業用地や豊富な残業人材、トップレベルの補助制度、10月にオープンしたスター路アップの支援拠点「STATION Ai」、25年7月のオープンに向け整備を進めているIGアリーナ、休み方改革プロジェクトなどを紹介。大村知事は「県内の市、町、関係団体などと連携して産業首都あいちとして日本経済をリードしていきたい」と語った。
続いて、尾張・海部地区から、春日井市、犬山市、日進市、愛西市、あま市。知多地区から半田市、常滑市、大府市。火災三河地区から岡崎市、刈谷市、安城市、みよし市、幸田町。東三河地区から豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市、田原市のそれぞれの市長もしくは副市長、町長が登壇しそれぞれの特徴や工業団地などを紹介した。
企業による講演では、「製造業の変革による未来と、愛知県を中心とする中京圏の可能性について」のテーマでアクセンチュア(株)の執行役員 インダストリーX本部 統括本部長の金森崇宏氏とアクセンチュア・アドバンスト・テクノロジーセンター名古屋 センター長の松濤真人氏が登壇し、総合コンサルティング企業で、システム、IT、ソフトウエアなどの様々な導入を顧客と一緒に行っている同社の概要などを紹介。また、日本のものづくりは変革のタイミングを迎えているとし、デジタル技術に加えアナログなものづくりノウハウによって競争力を保つことができると説明。「愛知の進歩にアクセンチュアが貢献できればと思う」と語った。
最後に10月に開所した日本最大級のオープンイノベーション拠点「STAITION Ai」について、STATION Ai(株)COOの尾崎裕樹氏が紹介した。
STATION Aiはオープンイノベーションを推進するための拠点として整備された、7階建て延べ床面積約2万3000m²施設。整備・運営事業者としてソフトバンク(株)が採択され、同社の100%子会社、特別目的会社としてSTATION Ai(株)が設立された。
施設は最先端のスマートビルとして、建物にはロボットやセンサーを実装。建物内はスロープでつなげられたロボットフレンドリーな施設となっている。建設工程にもスタートアップの技術を活用。協業しやすい空間を提供している。
また、スタートアップ約500社とパートナー企業約200社が参加する、日本最大のスタートアップコミュニティを立ち上げており、既存産業とスタートアップのシナジーをより強めていく計画だ。