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No.74

ジェトロなど、米国ユタ州ビジネスセミナーを開催、知事が投資を広く呼びかけ


2024/11/12

 日本貿易振興機構(ジェトロ)とユタ州知事室経済機会局、ワールド・トレード・センター・ユタの主催による「米国ユタ州ビジネスセミナー」が、10月3日に東京都内のジェトロ本部で開催された。ユタ州のスペンサー・コックス知事が基調講演を行い、日本からユタ州への投資を広く呼びかけた。

スペンサー・コックス知事
スペンサー・コックス知事
 コックス知事は、2021年にユタ州知事に就任。23年から1年間全米知事会の会長を務めた。基調講演では、ユタ州が2年連続最優秀州1位に選ばれたこと、年齢中央値が31歳と全米で最も若い州であること、多言語を話せる人口も一番多いことなどを紹介。32年にソルトレイクシティーでオリンピックが開催されることから、「オリンピックを招く前に皆様を招きたい」(コックス知事)と語った。また、日本はユタ州に多くの投資を行っており、3000人以上の雇用に貢献していることやアジアからの投資先としてユタ州はベスト州に選ばれたことなども説明。コックス知事は「今後米国に投資するなら、ぜひユタ州を検討してください」と締めくくった。

 次にユタ州知事室経済企画局長のライアン・スタークス氏と同局経済成長担当マネージングディレクターのジム・グローバー氏が、「ユタ州の経済動向おおよび日本企業のビジネス機会」のテーマで講演した。

 ユタ州は人口330万人で、人口の58%が新規流入と人口流入の多い州となっている。国内総生産は2000億ドル。面積は2万2000km²で、米国で13番目に広い州となっている。11カ所の国立公園と46カ所の州立公園があり、州面積の70%を占めている。DC(ディストリビューション・センター)ハブに優れており、内陸ポートを整備し、国際便を出荷しやすいインフラを構築する計画。ソルトレイク国際空港では、51億ドルの民間資金による再開発プログラムが実施中だ。

 また、産業の多様性、業界の多様性に注力しており、経済の安定性に役立てている。自然災害も少なく、年間平均停電回数も0.8回と全国で2番目に少ない。さらに雇用創出インセンティブの制度も充実している。

 続いて、ワールド・トレード・センター・ユタCEOのジョナサン・フリードマン氏が「Why Utah」のテーマで講演し、ユタ州が経済的見通しが明るい州であること、自由貿易地域があること、大都市圏で企業が立地する場合、関税の優遇や免除の制度があることなどを説明した。

 最後に三菱重工業(株)ハイドロジェン・インフラストラクチャーのチーフ・エクゼクティブ・オフィサーのマイケル・ダッカー氏が、同社がユタ州で進めているAdvanced Clean Energy Storageプロジェクトの概要について説明した。

 同プロジェクトは世界初にして最大のグリーン水素の製造・貯蔵施設となる水素ハブを整備する計画。同社は高砂製作所(兵庫県高砂市荒井町新浜2-1-1)内に完全統合型の水素パークを有しており、これを世界に広めていく計画。ユタ州を含む米国西側は再生可能エネルギーが高まりすぎてシャットダウンが発生している。春、冬はシャットダウンの発生が多く、秋には電力が不足するという事態が発生している。冬に余った電力を秋に放出するというのはバッテリーでは不可能だが、これを水素でストレージする計画。300GW分の余剰電力を蓄えられる水素貯蔵設備を整備する計画で、全体では10億ドルのプロジェクトだが、半分はインセンティブでまかなう計画だ。
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