商業施設新聞
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No.883

コロナに耐えた観光に思いを馳せる


山田高裕

2022/11/22

 10月11日に海外からの観光客受け入れをほぼ全面解禁してから、1カ月以上が経過した。諸外国が入国隔離などの制限を撤廃した時期に比べ、大幅に遅れての受け入れ再開となってしまったが、何はともあれ再開したのはとても良いことだ。中国からの観光客はいまだに中国側の規制により下火の状況だが、心配されていたような大きな混乱もなく、各地で外国人観光客の姿が増えてきている。

秋葉原の街に再び外国人観光客が戻っている
秋葉原の街に再び外国人観光客が戻っている
 コロナ前は外国人観光客を見ないときはないという状況だった秋葉原では、受け入れ再開で外国人観光客が街に戻ってきている。休日の歩行者天国で写真を撮る外国人観光客の姿は秋葉原の風物詩となっていたが、かつてと全く同じ光景が見られるようになり感慨深かった。数こそ以前と比べて少ないものの、秋葉原の街の光景には外国人が不可欠なものになっていたということを感じさせた。

 街中だけではなく、店舗内でも外国人観光客の姿は見受けられた。コロナ禍においてインバウンド需要を明らかに狙った店舗は減ってしまった一方、ホビー関係のショップなどに外国人観光客が多く集まっているようだ。折からの円安の影響もあり、欧米系の観光客がプラモデルやゲームなどを両手に抱える光景があった。

 またホテル需要についても注目される。同時期に始まった全国旅行支援の影響で市況が活性化したところに、インバウンドの増加が重なった形となっている。シティホテルなどの盛り上がりを聞くが、今後この波が宿泊特化型ホテルに波及する可能性は十分にある。

 こうした状況を見ていると、コロナが始まった2020年春から今までの間に廃業・撤退した施設や事業の多さに残念な気持ちが募る一方で、その間耐え抜いて事業を続けた人々に対しては、その苦労が報われてほしいと思う。コロナ禍ではよく「観光などはもうダメだ」といった言説が聞かれたが、観光・旅行は人々の楽しみとしてなくてはならないもので、そうそう簡単に消えたりはしないということを思い起こすべきだ。今後こうした復活の波が、都心の有名観光地だけではなく、地方へ波及することを願ってやまない。
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