去る6月10日、コロナ禍で事実上入国ができなかった訪日観光客の受け入れが再開された。当面の間は1日2万人の枠内での入国という形になるようだが、国内外での期待は高く、海外では訪日旅行の検索数が解禁報道を機に50%以上増えたという調査もあるほどだ。
コロナ禍の状況が始まってから2年経ち、もう遠い過去の出来事にも感じられてしまうが、コロナ前、インバウンドは消費の伸びしろとして大きな期待がかけられていた。実際に訪日客は右肩上がりで急速な成長を示しており、2019年の訪日外国人数は09年の約5倍にもなる3188万人にも達した。そうした数字を見ると、インバウンドの受け入れ再開に高い期待がかかるのも当然だと言えよう。では、実際に受け入れ再開が始まった観光地では、どのようなことになっているのか。コロナ前はインバウンドが集まる観光地として有名だった秋葉原と、浅草の浅草寺を一通り歩いてみた。
コロナ前の秋葉原は家電・サブカルチャー関連でインバウンドの人気を集め、街を見回すと1組か2組はインバウンドの姿が目に入るものだった。特に中央通りの光景は海外でも有名なようで、日曜日の歩行者天国では自撮りや映像を撮る外国人の姿が街の光景となっていた。では現在はどうだろうか。中央通りなど主だった通りを歩いてみたが、コロナによって消滅していたインバウンドの姿を久しぶりに見ることができた。おそらくは欧米圏から来た若者の集団で、秋葉原の光景を撮影し続けており、待ちに待った訪日であることが見て取れた。しかし数はやはり少なく、インバウンドが街の光景となっていたコロナ前に戻るにはまだまだかかりそうだ。
浅草も都内における有数の人気スポットであり、特に仲見世商店街~浅草寺の辺りは『鉄板』の名所となっていた。今回自分が散策したのは平日だったが、仲見世商店街から浅草寺境内に入るまでの間に複数の外国人観光客を見ることができた。人数は秋葉原とは違い、いずれも1~2人と少人数だったが、頻度は比較的多かった。観光案内人なのかはわからないが、境内で日本人とやり取りして写真を撮っている外国人もおり、コロナ前と変わらず観光を楽しんでいるようだった。
インバウンドの存在は、もちろん経済的な価値も高いが、街の活気を表す光景、そして多文化主義の観点から見ても非常に重要であったと思う。コロナ前の規模に戻るにはまだ遠い道のりがあるだろうが、コロナからの復活を象徴する存在として、インバウンドのさらなる受け入れに期待していきたいところだ。