シニアコンサルティングディレクター
南川明氏に聞く
大手調査会社のOMDIAは、5月26日13時からオンラインセミナーイベント「Global Semiconductor Day Spring 2022 ~ポストコロナのグローバル半導体産業・最新動向~」を開催する。同セミナーのジェネラルセッションを担当するシニアコンサルティングディレクターの南川明氏にプログラムの概要や注目点を伺った。
―― ―昨年から数えて3回目の開催になります。
南川 昨年は、グローバル半導体サプライチェーンのあり方や米中摩擦、輸出規制などの最新動向をテーマに開催したが、大変好評をいただき、3回目を望む声を数多くいただいた。コロナ禍で企業が独自の判断を迫られるなか、「政治とビジネスの区分を明確にして、企業はビジネス強化に注力するべき」といったメッセージを発信することができたことも良かったと思っている。
―― 今回のテーマは。
南川 この間に日本政府が半導体戦略を練り直し、TSMCの熊本進出が正式決定するなど、半導体を取り巻く状況は目まぐるしく変化した。こうした現状を整理して正しくお伝えし、ビジネスをどう展開していくべきかを改めて一緒に考えていく機会としたい。
―― 講演は「世界のDX/GXで半導体需要はどこまで成長するか」というタイトルですね。
南川 半導体業界を取り巻くマクロ市況を包括的に解説する。ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとして、過去にない急激なインフレが進んでいる。現時点で侵攻が世界経済に与える影響を予測するのは難しいが、可能な限りこれを分析しつつ、最終消費がどうなるかを展望する。
―― OMDIAからはコンサルティングディレクターの杉山和弘氏も「2022年の注目市場動向分析、動き出したDX/GX投資を紐解く」と題して講演されますね。
南川 カーボンニュートラルやSDGsの実現に向け、注目すべきデジタル投資やグリーン投資を中心に解説しつつ、ポストコロナに関連して自動車やデータセンターといった成長市場を取り上げる予定だ。
―― 他のプログラムについて。
南川 イベント冒頭では日本経済団体連合会 専務理事の根本勝則氏にご挨拶をいただく。
また、経済産業省 商務情報政策局 情報産業課長の西川和見氏をお招きし、「(仮題)半導体・デジタル産業戦略の足元の取組について」と題して、日本政府における最新の半導体政策をお話しいただく。
さらに、中国経済に精通している東京財団政策研究所 主席研究員の柯隆氏が「高まる地政学リスクと中国を中心とするサプライチェーンの再編」というテーマで講演予定だ。
―― 招待講演も予定していますね。
南川 シリコンウエハー大手であるSUMCOの阿波俊弘社長に、ウエハー企業から見た半導体市況をお話しいただく予定だ。阿波氏は、社長就任以降で初の対外講演になると聞いており、どんなお話を聞かせていただけるのか我々も楽しみにしている。
―― パネルディスカッションも実施しますね。
南川 「2022年 世界経済・半導体展望」と題して、セミナー全体を総括する。パネルディスカッションでは引き続き柯隆氏にも参加いただく。
半導体業界は、ここにきて各社のビジネスの動きが速まっている。例えば、インテルはゲルシンガーCEOの就任に伴ってテクノロジーを追求する原点回帰を鮮明に打ち出し、ファンドリー事業の本格展開に向けてタワーセミコンダクターの買収も決めた。
半導体不足や経済安全保障は引き続き重要なテーマであり、加えてインフレに伴う消費の低迷、なかでも中国の消費動向がどうなっていくのかは、下期以降を占う意味で議論すべき重要な要素だと考えている。幅広い方にご参加いただき、本セミナーを今後の判断材料の1つとして活用していただきたい。
(聞き手・特別編集委員 津村明宏)
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「Global Semiconductor Day Spring 2022 ~ポストコロナのグローバル半導体産業・最新動向~」の詳細情報は
https://omdia.oatnd.com/global-semiconductor-day-spring2022まで。