商業施設新聞
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第328回

ネイス(株) 代表取締役 南友介氏


RSCなどに体操教室 を展開
24年8月期に100店体制へ

2022/4/26

ネイス(株) 代表取締役 南友介氏
 ネイス(株)は、日本最大級の体操教室専門チェーンで、首都圏の商業施設を中心に49店を展開している。中長期計画として2024年8月期に店舗数100店体制の構築を目指し、年間20店以上の新規出店を実施する。同時に都心施設への出店に向けて新業態の開発や、25年8月期のIPOに向けた取り組みも進めている。今後の展開などについて、同社代表取締役の南友介氏に話を聞いた。

―― 貴社の概要を。
 南 当社の事業は体操教室を軸に、商品開発、発達支援の三本柱で構成される。売り上げの約80%を占める「ネイス体操教室」は、私自身が元日本代表の体操選手だった経験を生かし、10年に創業した。対象は6カ月から小学校6年生までの子ども達で、主に3歳までを対象とした未就園児クラス、小学校6年生までを対象とした幼児児童クラス、小学校2年生から受講可能なバク転教室を実施している。店舗数は3月末時点でFCも含め49店で、立地構成としては、横浜市の「ららぽーと横浜校」などRSCに30%、福岡市にある「イオン原校」などのNSCに30%となる。会員数は1万人を数える。

―― 店舗にある運動器具も自社で開発されているそうですね。
 南 体操教室事業を拡大するうえで重要なのが、商品開発事業である。当社は創業時、体操教室を運営するうえで、各メーカーや海外からも器具を買い集めていた。しかし、品質や安全面も不十分で、子ども達が「やりたい!」とわくわくするような器具が見つからず苦悩した。
カラフルな器具が特徴的な「ネイス体操教室」
カラフルな器具が特徴的な「ネイス体操教室」
 その中で創業2~3年目から教室で使用する器具の自社開発に着手し、子ども達が楽しめるだけでなく、ケガをしないように強化スポンジを使用したカラフルなとび箱などを製造した。現在では教室で使用する90%以上の器具を自社開発で賄っている。加えて、外販のニーズも高まっており、現在ではチームラボのアミューズメントパークで使用するマットやスイミングスクールのイベントで使用する水上アスレチックなども製造している。

―― 多様な生徒の受け皿の整備も必要です。
 南 体操教室事業を拡大し会員数が増加する中で、教室でのケガを誘発する恐れがあるとして、ADHD(注意欠陥多動性障害)など発達障がいのある子どもの受け入れを断らなければいけないという課題が生まれてきた。ただ、発達障がいのある子どもにとっても、運動する環境はストレス発散になるし、学校などに馴染めない子どもにとっては当教室がとても居心地の良い場所となるかもしれない。
 そのような思いから、「ネイスぷらす」という名称で発達障がいのある子どもを対象とした店舗の開発を進めている。3月時点で3店を展開し、7月に4店目をオープンする予定だ。今後も直営の場合は、「ネイス体操教室」とその近隣に「ネイスぷらす」を同時に出店し、将来的にはFCの場合でも同様の取り組みを推進していきたい。

―― 体操教室に入会するメリットは。
 南 1回で多くの動作を体感できることだ。例えば、サッカーなら、走ると蹴るという動作しかないが、鉄棒の逆上がりなら鉄棒をつかむ、地面を蹴る、ぶら下がる、回る、支持をするという動作が必要となる。その結果、子どもの神経系の発達がほぼ完成していく、3~10歳のいわゆる「ゴールデンエイジ」と呼ばれる時期に、運動神経を向上しやすくなる。同時に、体操は一段ずつ高さを変えられるとび箱などのように成長の過程が明確で、子どもにとっても成功体験を感じやすい。その結果、自分に自信がつき、チャレンジ精神を養う自己効力感の向上にもつなげられる。

―― 講師の育成は。
 南 体操未経験者でも講師ができるように「講師育成20日間トレーニング研修」というプログラムを開発し、子ども達への逆上がりの教え方やコミュニケーションスキルを教育している。これにより、体操未経験者の90%以上を講師として輩出できている。

―― 出店については。
 南 FCも含め年間20店以上の新規出店を進め、24年8月期までに店舗数100店体制の構築を目指す。立地に関しては郊外の商業施設を軸に、店舗面積としては35坪以上がほしい。会員制の体操教室で、週1回以上の来館が見込めるため、NSCとの親和性が高い。ただ、RSCの場合は施設内にイベントスペースで、オリンピアンなどの人気ゲストを招いたイベントという形で、施設の集客力強化に貢献できる。
 出店エリアは、22年8月期に新規出店する22店のうち、約半分を大阪府などの首都圏以外で展開しており、今後は全国の政令指定都市を中心に広島県などにもオープンしていきたい。

―― 今後について。
 南 子ども達のココロを育てる文科系の教室事業や、「ネイス体操教室」のノウハウを活かした新業態の事業を計画している。また、当社全体としては、3年後の25年8月期にIPOを目指しており、マスコットであるネイスくんデザインをリニューアルするなど、リブランド化も推進していく。

(聞き手・北田啓貴記者)
商業施設新聞2442号(2022年4月19日)(7面)
 商業施設の元気テナント No.243

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