電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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6割が成長率20%超え


~21年 半導体売上高ランキング~

2022/3/25

 当社がまとめた半導体メーカー売上高ランキングによると、2021年の売上高合計は5868億ドルとなり、前年比で24%も増加した。当社は300社以上の半導体メーカーをモニターしているが、6割の企業が20%を超える成長率を記録。50%以上の成長を遂げた企業も多く、ランキングも大きく変化した。


 インテルは、メモリーが好調だったサムスンの猛追を受けたものの、かろうじて首位を守った。だが、成長率はわずか0.4%にとどまり、ライバルのAMDが70%近い成長でトップ10に飛び込んできたのとは対照的な結果となった。

 AMDは、TSMCの活用で微細化を進め、インテルからシェアを奪った。互換性を以前ほど問われなくなったデータセンター(DC)用で20%を超えるシェアを獲得し、デスクトップPC用ではインテルと互角のシェア争いをしている。ザイリンクスの買収に成功したことで、今後の伸びしろも大きい。

 21年は低迷したインテルだが、22年は伸びを期待している。第12世代のAlder LakeがPC向けに出足好調なことに加え、DC向けにはSapphire Rapidsが下期から本格的に採用されそうだ。HPC、AXG、ファンドリーという3つの新事業によってメタバース市場を開拓していく方針を示しており、26年までに2桁成長を実現する計画だ。

 21年に51%成長を達成したクアルコムは今後、自動車向けがさらなる成長を牽引しそうだ。スマートフォンや5Gでの実績を強みにナビから自動車分野に参入してきたが、24~25年に登場する自動運転レベル3の自動車でADAS用ECUへの採用が増える見通しとなっており、テレマティクスが収益の新たな柱になる。

 エヌビディアは、20年に買収したメラノックスをてこにネットワーク分野を強化し、メタバース市場へ切り込んでくる。メラノックス買収によってNetwork Interface Card(NIC)に参入する一方で、メニーコアCPUをソフトウエア化して使えるようにする取り組みを進めている。NICはインテルが強く、AMDはこれまで持っていなかったが、ザイリンクス買収で今後参入してくることが予想され、ここでの主導権争いが今後どうなっていくのかに注目している。

 ルネサスも大きく順位を上げ、トップ15に入った。IDT、インターシル、ダイアログとアナログICメーカーを立て続けに買収して業績を安定させ、売上高は初めて1兆円を超えた。産業用は確かに手堅い市場だが、今後の注目点は車載SoCの展開だろう。クアルコムに見るとおり、レベル3以降では10nm以下の先端プロセッサーが求められてくるため、第4世代R―Car以降の製品展開がどうなるかが将来の伸びしろを左右しそうだ。

 レベル3の自動運転車ではクアルコムが存在感を高めそうだという予想がある一方、「セカンドベンダーとしてサムスンが参入してくるのでは」との観測も強まっている。現在のところ自動車向けの実績はほとんどないが、事業買収に関する憶測が数多く飛び交っている。サムスンは先端ロジックプロセスを保有しているだけに、22年もその動向に注目が集まる。

 ランキングを大きく上昇させた企業がある一方、下げてしまった企業もある。ソニーは20年の14位から21年は18位に、ハイシリコンは16位から46位にそれぞれ順位を下げた。いずれも理由はファーウェイ・ショックだ。そのなかでソニーは健闘したといえるが、再び成長軌道に戻すには少し時間を要しそうだ。
(本稿は、杉山和弘氏へのインタビューをもとに特別編集委員 津村明宏が構成した)




OMDIA 杉山和弘、お問い合わせは(E-Mail: KAZUHIRO.SUGIYAMA@omdia.com)まで。
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