(株)ゴンチャジャパンは、台湾発のグローバルティーブランドである「ゴンチャ」を日本国内で展開している。上質な茶葉を使用し、顧客の好みに合わせて甘さをカスタマイズできるなど、確かなクオリティで日本国内のティーカフェ文化を牽引している。同社の代表取締役社長である角田淳氏に話を聞いた。
―― ブランドの概要から。
角田 ゴンチャは、2006年に台湾に1号店がオープンして以来、グローバルティーブランドとして世界各国に広まった。現在は世界20カ国以上で約1700店、日本国内においては15年に1号店を開業し、22年1月時点では113店を展開している。
―― 足元の状況を。
角田 直近では、やはり新型コロナウイルスのオミクロン株の影響が大きく、店舗の売り上げベースでは前年を下回った。しかし、オミクロン株の流行が本格化する前のクリスマス商戦時期から1月半ばまでは好調で、売り上げも前年を超えていた。路面店は、渋谷や原宿・表参道といった都心に位置することが多いため、商業施設内の店舗より影響が大きかった。
―― コロナ禍の2年間を総じて、販売動向などに変化は。
角田 19年までは売り上げの中でも、タピオカをトッピングした商品のシェアが高かったが、今はストレートティーやミルクティーといった、ティーカテゴリーの比率が上がってきている。ゴンチャというブランドが、タピオカ店から「ティーカフェ」という新たなジャンルとして認識していただいているのではないだろうか。
―― 現在の主要な客層は。
角田 主に女性が8割となっている。ただ、美味しいお茶を楽しめるということで、実はコアな男性ファンも少しずつ増えてきている。男性客もより利用しやすくなるよう、ティーカテゴリーの商品をしっかり揃える努力をしている。また男性客の増加には、軽食の提供が必要であると考え、2月からはミルクフォームやパール(タピオカ)をトッピングした「エッグタルト」や、台湾で昔から愛されてきた「パイナップルケーキ」の販売を全店で開始した。夏以降に軽食の種類を広げるべく、さらなるメニュー開発も検討している。
―― 堅調に推移している店舗数について。
角田 現在は113店のうち、商業施設内店舗が74店を占めている。店舗展開については、8割以上がフランチャイズとなっている。直営店は10~15%という比率を保っていきたい。環境の変化に応じて、多少の前後はあるかと思うが、最低限フランチャイザーとしてブランドを作るためには、その程度の規模は必要であると考えている。
―― 店舗開発は。
角田 店舗の形態は、大きく分けて「ティースタンド型」と「ティーカフェ型」の2つとなる。ティースタンド型は、ピックアップを中心に気軽に利用できる店舗。ティーカフェ型は、ゆっくり過ごせるように座席を配置している。ティーカフェ型の店舗は平均24席を設けており、学生や子供連れが多い場所では、複数席の比率を増やすなど過ごしやすくなる工夫を施している。
今後は、店舗が出店する立地に合わせた新たな店舗形態なども検討したい。例えば、その地域の雰囲気に合った店づくりや、メニューについてもその地域のお茶を使用するなど、まだまだチャレンジできることがあると思っている。
―― 出店立地の選定について。
角田 まずは首都圏、中部や近畿といったエリアで、しっかりと展開していきたい。そこから福岡や仙台といった地方大都市から、中国地方などまだ店舗の少ないエリアにも出店していきたい。
―― グローバルブランドとして展開する中で、日本市場が持つポテンシャルは。
角田 立地的に近い国と比べると、韓国は大手コーヒーブランドが約1500店、ゴンチャが700店ほど出店している。それに対し日本は、大手コーヒーブランドが1600店ほどで、ゴンチャは113店。市場を拡大する余地はまだあると考えている。一方で、113店という規模でありながら、ゴンチャジャパンが全世界の売り上げのうち約2割を占める規模となっている。日本の1店あたりの売り上げは、店舗数が圧倒的に多い韓国に比べて約2倍になるなど、日本市場の存在感は高い。我々が、ゴンチャのグローバルな成長を牽引できたらと考えている。
―― 今後の展望について。
角田 以前、数年内に400店を達成するという目標を打ち出したが、店舗数というより、一人ひとりのお客様が大切であり、その結果として店舗数がある。21年10月に社長に就任したが、就任前からゴンチャのブランドには魅力を感じていた。今は、日本にはまだ競合も少なく、新しい“ティーカフェ”という文化を作れることにワクワクしている。我々ゴンチャジャパンだけでなく、フランチャイジーや店舗で働くスタッフの方々と一丸となって、日本におけるティーカフェのリーディングカンパニーとして成長し続けていきたい。
(聞き手・新井谷千恵子記者)
商業施設新聞2437号(2022年3月15日)(8面)
経営者の目線 外食インタビュー