ソウルから南西部へ240kmほど離れた大邱(テグ)広域市。KTX(韓国高速鉄道)で1時間40分ほどかかる同市は、かつて繊維産業で賑わっていた。だが、現状では繊維産業は色褪せ、少子高齢化の影響を受けて、250万人を割り込むほどの人口減に悩んでいる。
そこで大邱市は、韓国国内外からの観光客誘致に総力を挙げて取り組んでいる。長崎のように、韓国では初めてカトリック教会が伝播された地でもある同市は、近代化が最も早く進んだことから、いまも近代化ストリートが観光スポットとなっている。大邱で最も古いカトリック教会の桂山聖堂(ケサンソンダン)は、1891年に木造の聖堂が建てられたのを始まりとし、現在の建物は1902年に建て直され、韓国指定史跡第290号になっている。大邱はその昔、燦爛たる新羅と伽耶文化を受け継いだ由緒のある地域である。多くの文化遺跡が存在し、多様な文化体験が可能な伝統とカルチャーが共存する観光拠点都市として関心を集めている。最近は、名品観光やグルメツアー、癒し体験などのダイナミックな旅の喜びが満喫できると、若者からの人気を集めている。中でも、漢方薬の材料を卸売で取り扱う大邱薬令市は、長い間、韓国南部地方を代表する薬剤通りとして愛されている。
また大邱は盆地型地形であり、まるで京都を連想させるような風情も人気の一因である。暑く乾燥した気候を乗り越えるため、街には多くの樹木が植えられている大邱は、世界でも先進的な環境都市で、国際エネルギー機構(IEA)からソーラーシティに選定されており、環境に優しいクリーン都市と評価されている。
産業面でも旧来の繊維産業に代わり、自動車部品産業と高付加価値の繊維ファッション産業が発展し、再生可能エネルギーを利用したグリーンエネルギーをはじめ、ITコンバージェンス産業や先端医療産業を大々的に育成、発展させている。また、大邱・慶尚北道エリアのハブ都市で知識観光の中心都市としての潜在力を持つ大邱は、観光振興のためのプロジェクトとして地域内の新羅や伽耶、儒教などの歴史文化資源と、洛東江や白頭大幹エリアのグリーン資源などに対する観光資源化を通して、地域の均衡発展と経済活性化に取り組んでいる。
また大学では、地域人材の能力強化や新しい観光コンテンツの掘り出し、ビジネスチャンス創出のための観光専門家の育成を進めている。大邱地域の職場創出や観光資源確保のため、多様なアイデアと技術力を持つ観光スタートアップの発掘および育成を進める。さらに、建築文化紀行と名付けられたコースは、古い建築文化資源を活用し、ストーリーを持つテーマ商品の開発をはじめ、伝統文化と地域産業を融合させ、大邱が体験できる観光コースや伝統文化が間接的に体験できるデジタル・コンテンツを製作し、バーチャルリアリティーを提供する。
韓国地方都市のうち、最も保守的なイメージが強かった大邱。しかし、最近は大邱市傘下の大邱観光財団などの努力により、伝統文化や古い遺跡を活かした魅力が話題になっている。また、釜山を経て大邱を旅するコースもかなり反響を呼んでいる。大邱と釜山は昔から同じ慶尚道圏に属し、類似点と相違点が併存する特徴を持っている。
「大邱へオイソ!!(大邱へいらっしゃいの慶尚道方言)」。ポスト新型コロナ時代を見据えて、大邱観光財団は大々的な観光振興政策や活動をなど通じて、大邱のさらなるイメージアップに奔走している。