電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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10~12月期が市況の転換期に


~「第41回 ディスプレイ産業フォーラム」開催~

2021/7/9

シニアディレクター 謝勤益氏に聞く
シニアディレクター 謝勤益氏に聞く
 大手調査会社のOMDIAは、7月29~30日にFPD市場総合セミナー「第41回 ディスプレイ産業フォーラム」をバーチャル形式で開催する。FPD市場総論を担当するシニアディレクターの謝勤益(デビッド・シェー)氏に2022年に向けた注目ポイントを伺った。

―― 液晶市場は供給過剰が懸念される状況に変わってきました。
  21年のFPD市場は需要面積の伸び率が6.5%であるのに対し、供給面積(生産能力)の伸び率は9.1%になると見込まれる。旺盛な需要に対応するため、韓国メーカーが韓国国内での生産休止を延期していることが影響しているが、一方でガラス基板やドライバーICの供給不足が続いているため、実質的な供給面積の伸び率は5%にとどまっている。

―― 足元はまだ需給がタイトなのですね。
  7~9月期についてガラス大手のコーニングは基板の価格が上昇するとの見通しを示しており、ドライバーICは前四半期比で15~20%の値上げになったようだ。米国市場では4~6月期からテレビの販売がスローダウンしているが、鈍化したのは32インチや43インチなど小さいサイズで、50インチ以上は依然として販売が堅調だ。こうした点から、7~9月期はタイト感が継続し、10~12月期が価格反転のタイミングになるとみている。

―― 22年の市場予測は。
  供給面積の伸び率7%に対し、需要面積の伸び率は3%にとどまり、供給過剰に転じる。巣ごもり需要に一服感が強まり、部材の供給不足も解消に向かう。現状ではパワー半導体やイメージセンサーなど他のICと8インチのキャパを取り合って、不足が深刻なドライバーICだが、中国ファンドリーのレガシー工場および300mmラインを増強することで解消に向かうだろう。
 一方で、中国メーカーは増強を継続する。政府からの補助金はFPDよりも半導体へ流れつつあるが、BOEの3棟目となる10.5G工場の新設計画が浮上するなど、依然として増強に意欲的で、中国メーカー同士の競合も激しさを増す。これに対して、韓国勢がいよいよ国内生産を休止し、台湾勢も能力は増強せずに医療、産業用PCやOA、FA、車載といったニッチ&高付加価値市場への傾斜をより強める。

―― 厳しい市況が見込まれるなかで、注目される点は。
  ハイエンドパネルの需要が拡大する。巣ごもり需要によって、ユーザーが高い色純度やコントラストなど、コスト以外に付加価値を求めるようになっており、部材メーカーにスペックアップのチャンスが訪れている。液晶との価格差が縮まったことも手伝い、フォルダブルやローラブル、QD-OLEDといった有機ELの需要が伸びていくとみている。

―― 有機EL市場での注目ポイントは。
  PC用にも有機ELの搭載が広がっていくかに注目している。アップルは23~24年にiPadやMacbookに有機ELを搭載するのではと目されており、これが実現すれば大きな流れになる。
 スマートフォン市場でも有機ELの搭載がさらに進む。米中摩擦でファーウェイが大きくシェアを落としたものの、アップルは21年にiPhone13向けに1億枚、iPhone12向けに7000万枚の有機ELを調達する見通しだ。パネルのスペックは従来から大きく変わらないが、ドライバーICのCOP実装、120Hz駆動、LTPOの採用といったアップグレードが見込まれている。
 また、コロナ禍でフォルダブル端末が人気を博しており、21年は1000万枚までパネル需要が伸びそうだ。この9割近くがサムスンの端末向けだが、中国メーカーがセカンドソースとしての位置づけを確保する動きを強めるだろう。
 ただし、有機EL市場では依然として韓国メーカーのシェアが高い。中国メーカーは6~7社が参入しているが、シェアは15%にとどまっており、サムスンとLGの2社で85%を占有している。中国勢は歩留まりや信頼性にまだ課題があり、この向上が強く求められている。

―― ミニLEDバックライトはいかがですか。
  液晶のHDR対応や高コントラスト化に寄与する技術として、21年450万台、22年1000万台、22年には2000万台と採用が伸びていく。アクティブマトリクス駆動にはガラスベースの技術が必要と言われてきたが、直近ではプリント回路ベースで実現する流れが出始めており、コストダウンも進みそうだ。既存の液晶テレビよりも高付加価値だが、有機ELテレビよりは安価という価格帯で一気に普及してくるとみている。


(聞き手・特別編集委員 津村明宏)



「第41回 ディスプレイ産業フォーラム」の詳細情報はhttps://na.eventscloud.com/jpdiplayforum²021summerまで。
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