商業施設新聞
新聞・情報紙誌のご案内出版物のご案内広告掲載のご案内セミナー/イベントのご案内
第280回

三菱商事都市開発(株) 代表取締役社長 糸川裕樹氏


延べ15件を首都圏などで開発
都市機能のアップデートを実現

2021/5/18

三菱商事都市開発(株) 代表取締役社長 糸川裕樹氏
 三菱商事都市開発(株)(東京都千代田区有楽町1-7-1、Tel.03-6212-0610)は、国内で商業やホテル、オフィスのほか、物流施設「MCUDlogistics」の開発を手がけている。同社は開発した施設を一定期間保有した後、売却する回転型収益不動産開発というスキームで事業を展開しており、コロナ禍で投資対象としての物流施設の魅力が高まっていることもあり、開発ペースを加速している。代表取締役社長の糸川裕樹氏に、同社の物流施設開発の現状や今後などを聞いた。

―― 事業の概要から。
 糸川 我々の物流施設ブランド「MCUDlogistics」では、開発した施設は短期間自社で保有し、その後投資家などに売却するという事業スキームで展開している。2015年12月に「MCUD千葉北」を竣工して以降、これまでに10件の物流施設を開発した。一つの物件の敷地面積は3000坪から3万坪までと、規模の大小は幅広い。現在自社で保有している竣工済み物件は3件で、7件は売却済みだ。

―― 今後の開発予定とエリアについて。
神戸須磨で開発中の施設のイメージ
神戸須磨で開発中の施設のイメージ
 糸川 現在具体的に開発を進めているのは5物件だ。21年12月に「神戸須磨」、22年夏に「野田尾崎」、22年秋に「久喜桜田」が竣工する予定で、他に2件の開発が進んでいる。また時期や地域は具体的には公表できないが、現在3件の開発も予定している。
 重視しているエリアは首都圏のほか、近年は関西圏・中部圏等の大都市圏に注力している。特に関西圏はやはり経済規模と物流需要が大きく、また大阪支店を19年10月に設立したこともあり、本格的な進出に至った。

―― 施設の強みや独自性について。
 糸川 我々はテナントの方々が使いやすい施設という面を重視している。三菱商事グループの中には物流事業を展開する三菱商事ロジスティクスがあり、人材の交流もある。またグループ内には食品スーパーなどの小売事業者もあり、ユーザーの意見を取り入れやすい体制にある。施設の開発に当たっては、こうした実際の物流事業者や小売事業者の意見、ノウハウを取り入れ、使いやすさを追求している。
 また我々の物流施設は駅などの公共交通機関からのアクセスに優れた場所を選んでいる。これは施設で働く皆さまの通勤利便性を重視したもので、テナントの方々に対しても訴求できている。

―― 開発に当たっての課題などがあれば。
 糸川 最近は、施設の立地は従来の郊外から、より消費地に近い場所を求める傾向がある。こうした際に問題となるのは、住宅や商業施設など他のアセットと立地が競合することだ。我々は過度な入札による取得ではなく、三菱商事のネットワークを活用し、そうした土地を保有している企業などに直接アプローチして事業を提案するCRE戦略サポートという手法を採っている。

―― そのほか、新しい取り組みは。
 糸川 コロナ禍の現状において、アセットとしての物流施設の価値は高まっている。そこで我々は既存の物流施設のバリューアップにも積極的に取り組んでいる。事例としては、老朽化が進んだ産業用施設を超低温冷凍冷蔵倉庫に大規模改修したものがある。建物老朽化による建て替えや拠点集約ニーズは続くとみており、お客様の御要望に沿ったオーダーメイド型のソリューションを提案していく。
 また、既存の商業施設についても物流への転換元としては有望だと考えている。また近年拡大しているネットスーパーの事例などを見ると、食品スーパーなどが店舗としての機能を維持したまま、物流拠点としての機能を備えることは十分可能性があると考えており、面的な取り組みを検討していきたい。

―― 投資対象としての物流施設の今後は。
 糸川 コロナやEC需要に支えられ投資対象としての魅力は高まり続けているが、このまま行けばいずれどこかで需要を大幅に上回る供給過多の現象が起きるのではないかと懸念している。我々も三菱商事グループ企業などを通じて市場やテナントの動向に注視している。市況動向に細心の注意を払いながらも立地を厳選した上で、年間5件程度は新規物流開発案件を仕込み、継続的に展開していきたい。

―― 抱負などを。
 糸川 現在物流業界ではビッグデータを活用したDXや、環境への配慮などを取り入れた新しい施設が望まれている。我々もテナント企業や投資家の方々に選ばれるため、こうした取り組みを積極的に進めていく。今後も社会のニーズを捉えた施設の開発を通じて、「都市機能のアップデート」を実現していきたい。


(聞き手・山田高裕記者)
※商業施設新聞2393号(2021年4月27日)(1面)
 デベロッパーに聞く ロジ革命 わが社の戦略 No.13

サイト内検索