電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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オンライン・ビデオが急成長


~コロナ禍で変わるコンテンツ産業~

2021/3/19

 いまだ収束が見えないコロナ禍によって、インターネットによるコンテンツ配信であるOTT(Over The Top)事業が急激に伸びている。当社の調べによると、NetflixやAmazon Prime Videoをはじめとするオンライン・ビデオの世界売上高は2020年に1360億ドルに達した。

 前記2社に限らず、中国のTencent Videoや米ウォルト・ディスニーの動画配信サービス「Disney+」、YouTube Premiumなどはいずれも前年比で2桁成長を達成している。巣ごもり需要でノートパソコンやタブレット、セットトップボックスの販売台数が急増し、これで視聴機会が増えていることもオンライン・ビデオの成長に拍車をかけている。

 海外のDirecTVや日本のJ:Com、スカイパーフェクTVのような、いわゆる「ペイTV(有料テレビ放送)」に対し、オンライン・ビデオは契約金額が安価なため、日本における市場規模はまだ小さいが、加入者数ベースでは23年にオンライン・ビデオがペイTVを追い抜くと予想しており、今後も成長が継続する見通しだ。

 このうち日本は、世界でみても非常にユニークな市場だと認識されている。ブロードバンドのインフラが普及しているにもかかわらず、既存の放送局やペイTVに加え、パッケージビデオ、オンライン・ビデオの市場が併存しており、ローカルのオンライン映像配信会社が乱立している状況にあるためだ。

 ただし、競争環境は世界市場とそう大きくは変わらない。日本における20年のペイTV売上高は、首位のJ:Comこそ前年比微増を果たしたものの、2位のNTTぷらら、3位のスカイパーフェクTVはいずれもマイナスであった。

 一方で、オンライン・ビデオは世界市場と同様、日本でも2桁成長し、49億ドルまで伸びた。スポーツコンテンツが主力のDAZNはコロナ禍でスポーツイベントが相次いで中止になった影響を受けたが、Netflixは前年比で約8割増、U-Nextは同4割増になったもようで、成長が加速している。

 日本のオンライン・ビデオのサブスクリプション市場をさらに詳しく分析すると、20年の市場シェアはAmazon Prime Videoが22%、Netflixが17%、合計で39%となり、18年の合計29%から大きく増加した。また6位にはサービスを開始したばかりのDisney+がシェア6%でランクインしており、エイベックスのdTVやHuluジャパンなどの日系プレーヤーに圧力をかけている。

 最近では、Netflixらがローカル独自コンテンツの制作にも投資しており、こうしたこともグローバルサービスプレーヤーが日本でも支持を集める要因の1つになっている。

 こうした状況から、ユニークで独自性の強い日本市場であっても、グローバルプレーヤーのさらなる事業拡大に伴い、今後は日系プレーヤーのM&Aや統合が避けられなくなると考えている。

 ちなみに、先ごろ歴代興行収入で首位(3月8日時点で384億円)に立った『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』を、オンライン・ビデオ、ペイTVを合わせた日本における売上高に当てはめると、9位に相当する。関連グッズの売り上げも含めると波及効果はさらに大きく、やはりアニメは日本が強みを持つコンテンツであることを改めて認識させた。

 しかし一方で、コロナ禍によって映画産業も変わりつつある。例えばディズニーは、これまで映画で稼いだ資金をオンライン・ビデオ事業に投資してきたが、コロナ禍で映画館が閉鎖されるなど上映機会が減少していることに伴い、直近では上映と同時にオンライン配信も行うケースが出てきたほか、『スター・ウォーズ』の新作シリーズドラマを作製しDisney+で独占配信するなど、映画館に頼らないビジネスモデルを模索し始めている。
(本稿は、前納秀樹氏へのインタビューをもとに編集長 津村明宏が構成した)




Omdia 前納秀樹、お問い合わせは(E-Mail: hideki.maeno@omdia.com)まで。
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