(株)シーアールイー(東京都港区虎ノ門2-10-1、Tel.03-5572-6600)は、物流不動産に特化した企業で、デベロッパーとして自社物流施設ブランド「ロジスクエア」の開発を行うほか、物流施設のマスターリース、プロパティマネジメント、リーシングなども行っている。開発に関しては現在のペースを加速し、今後は年間3~5棟を目指すほか、単なる“床”としての倉庫ではなく、「倉庫+α」の利用価値を提供する物流インフラプラットフォーム構想の実現を推進していく。同社代表取締役社長の亀山忠秀氏に話を聞いた。
―― ロジスクエアについて。
19物件を展開するロジスクエア
(写真は21年1月に竣工した
ロジスクエア大阪交野)
亀山 同ブランドは2013年6月に第1号物件が竣工し、そこから20年6月までに年間2、3棟のペースで計19物件・約18万1000坪を開発してきた。規模は5000~1万5000坪が中心で、エリアは首都圏を中心に北海道、関西、九州に展開している。テナントは物流企業、3PL企業と呼ばれるところがほとんどだ。
開発用地は、お客様に適切な賃料で施設を提供できるか、ロケーションは適しているかを重視している。なお、今後は開発のペースを加速していく考えで、年間3~5棟程度を見込み、早々に千葉県(白井市)や神奈川県(厚木市)へ初進出する。
―― ニーズ増に対する開発の考え方は。
亀山 昨今はお客様からのニーズも高く、例えば首都圏の空室率は過去最低を記録している状況で、今後多少の上昇はあるものの低い空室率で推移するだろう。これは賃料相場が安定していることの表れで、物流不動産の開発マーケットは健全に進んでいくと思う。新規参入も多い中、当社は長年培ってきたノウハウを物流不動産専業会社としての強みを活かして、安定的に開発していきたい。
また、開発以外にも他社の施設管理、マスターリース、リーシングなども展開し、物流不動産に関連する幅広いサービスを皆様に提供するシーアールイーであり続けたい。
―― ビジネスモデルも他社とは異なります。
亀山 当社の基盤は開発事業ではなく、管理事業にある。長年、管理事業で実績を積んできたが、2000年代に入ると、中大型の賃貸物流施設のニーズが生まれ、それに応えるため、自ら物流施設をつくり始めた。当社の基盤である物流施設の管理運営の知見・ノウハウを開発事業に注ぎ込むことにより、利用者の立場に立った利便性の高い施設開発を目指している。
当社のデベロッパーとしての側面を土台から支える管理事業に含まれる、マスターリース事業の管理物件数は1350件(20年10月現在)で、この分野ではおそらく当社は日本最大手ではないかと思う。
―― 独自の取り組みは。
亀山 開発用地の取得にあたり土壌汚染があるケースもあるが、この土壌汚染について、当社は(株)エンバイオ・ホールディングスと協業して、土壌汚染対応力を高めている。また、共同出資により(株)土地再生投資を設立し、汚染地のリユース事業も行っている。これは、重篤・広大な汚染地を土地再生投資が購入し、再利用できるよう対応・対策を行い、物流施設や商業施設を建設するものだ。
先述の白井市、厚木市で建設予定の物流施設2物件についても、土地再生投資が土地を購入し、改良を行った後、当社が物流施設を建設する計画だ。土壌汚染地に対する取り組みは他社よりも進んでいると思う。これは当社だけではできないことで、やはりプロの力が必要である。
―― 物流インフラプラットフォーム構想について。
亀山 物流施設はあくまで“床”である。“床”の提供以外にもテナント様が物流サービスを構築するときに、必要な付加価値の高いサービスも提供していきたい。これが当社の掲げる物流インフラプラットフォーム構想である。まだ事業規模が小さいものも多いが、お客様に対するサービスの提供という意味では、一定の役割は果たせていると思う。
―― 人手不足の問題で取り組んでいることは。
亀山 雇用確保においても優位な立地に施設を開発したり、入居テナント様の従業員のマイカー通勤が想定される施設では、通勤者のための駐車場を多く確保したりしている。また、今後、省人化や無人化に向けて導入設備なども変わってくるので、マテハンを手がける企業などと提携し、マテハン導入を支援するといった取り組みも行っている。具体的には、グループ会社の(株)APTとともに、テナント様の省人化、無人化などをサポートしていきたい。
―― 投資額について。
亀山 今進行中の中期経営計画では、3カ年で900億円の投資を計画している。プロジェクト期間が長い案件もある中、順調に投資もできているし、コントロールもできている。
―― 今後の事業展開を。
亀山 物流不動産のワンストップサービスを深化させ、パートナー企業と一緒に物流インフラプラットフォームを構築し、事業領域を拡大していく。一方で、迫り来る日本の人口減少、超少子高齢化社会を乗り超えるため、ASEANで物流不動産におけるワンストップサービスを展開していきたいと考えている。
(聞き手・副編集長 若山智令)
※商業施設新聞2381(2021年2月2日)(1面)
デベロッパーに聞く ロジ革命 わが社の戦略 No.2