静岡県熱海市と神奈川県小田原市を中心に、近隣の神奈川県湯河原町および真鶴町、静岡県函南町などの自治体連携が強まっている。県境を越えた相模湾西部での連携であり、今後数年かけて広域観光の振興と周遊強化に打って出る。湾岸を通る国道135号の渋滞緩和のため、伊豆湘南道路の整備構想もあり、協議を始めている。新型コロナ鎮静化後を見据え、県境をまたいだ広域振興が楽しみである。
年末年始は、感染症予防のため遠出ができず、自宅近くの小田原、熱海を周遊して、相模湾沿いで3密を避けながら静かに過ごした。小田原駅前では、2020年12月に商業施設「ミナカ小田原」が開業したので、それを見る目的で、施設内の「二八蕎麦 正庵」で年越しそばを食べた。北海道深川産のそば粉を使った味わいのある風味で、具材が盛られていない単品のせいろ(770円)でも、十分に満足できる逸品である。3階のフードスタジアムでは、江戸時代の城下町を模した風情の環境で食事を楽しむことができ、次回は施設内の「天成園 小田原駅前 別館」に宿泊して訪れたくなるスポットだった。14階へ足を運ぶと、足湯とレストランが設置され、相模湾と市街を眺望できる。年末年始の寒波と日本海側の大雪のニュースを耳にしながら、太平洋側の太陽光と熱量の恵みに感謝の念が強まる場所だった。1階に戻るといなりずし店に行列ができており、並んでまで食べたいいなりずしとはどんな味なのか興味をそそられた。コロナ後に行列に加わってみたい。ほかにも、小田原早川港の地魚、湘南鶏、足柄牛などの地元食材を使った食の仕掛けが満載の施設であった。
熱海市では、19年に開業した「熱海銀座おさかな食堂」へ赴いた。これもまた行列ができる繁盛ぶりで、密を避けるため残念ながら入店は控えた。19年の開店時にも取材に招かれたのだが、その際には時間の都合がつかなかったことから行けず、今回は再挑戦のつもりだったものの、またも不発に終ってしまった。てんこ盛りの海鮮丼が大人気なのだそうだ。
プライズゲーム機がずらりと並ぶ
「セガ新宿歌舞伎町」
さて相模湾西部の地域連携と直接の関係はないのだが、セガ エンタテインメントから年明けに「新宿舞伎町『クレーンゲーム機設置台数世界一!』ギネス世界記録に挑戦」の取材に招かれ赴いた。店舗面積1161m²の中にUFOキャッチャーをはじめとするプライズゲーム機477台がずらりと並び、壮観だ。全台に抗菌・抗ウイルス対策シートが使用され、感染症対策も万全。1月7日に英国のギネスワールドレコーズ社から認定を受け、認定賞授与式が報道陣に公開された。ギネスで認定されたセガのクレーンゲームは、相模湾西部の自治体連携の起爆剤に加えると面白いのではないかと感じた。各地域の名産品や特産物をぬいぐるみ化してクレーンゲームの景品とし、連携自治体の景品を全部集めた観光客には、旅の記念になる贈答品をさらに用意するなど、スタンプラリーのようにしてみてはどうだろうか。特に真鶴町は、駅前が寂しい気がするので、セガを誘致して何か仕掛けられないかと感じた。
いずれにしても、観光地や商業施設での賑わいが歓迎されるようになるには、新型コロナの影響で時間がかかりそうだ。それまでの期間、観光や娯楽産業はコロナ後の事業機会に備えて、新たな企画を練って準備する期間にもなるのだろう。人々は密を避けなければならないが、自治体間は密な連携が必要になっている。皮肉なものである。