商業施設新聞
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第251回

(株)カインズ 代表取締役社長 高家正行氏(1)


13年ぶりHC業界首位を奪還
PB強化が結実

2020/10/13

(株)カインズ 代表取締役社長 高家正行氏
 (株)カインズ(埼玉県本庄市早稲田の杜1-2-1、Tel.0495-25-1000)は、ホームセンター売り上げ(HC)で、13年ぶりとなる業界首位の座を奪還した。魅力的なPB商品群の開発、商品化を進め、それが結実した。「Style Factory」、「C'z PRO」など新業態の出店を加速しながら、さらに街づくりに参画する姿勢を示しており、事業はHCの枠にとどまらない。同社代表取締役社長の高家正行氏に事業展開と戦略について聞いた。

―― ウィズコロナ時代には、HCへ多くの買い物客が訪れ注目されています。足元の状況から。
 高家 新型コロナの影響は、最初はマスクや消毒液などの衛生用品の需要から始まったが、その後は巣ごもり消費の影響でDIYやガーデニングの人気が高まったことに加えて、家の中を片付けた後の収納用ボックスや棚、簡単に貼れる張り替え用壁紙、観葉植物、野菜の苗や種がよく売れている。
 HCは、4~5月の政府の緊急事態宣言下でも営業が許されていた。当社は生鮮品は扱っていないが、それ以外の生活品が豊富に揃っていることから多くのお客様が訪れてくださった。当社は、1万m²を標準とした広域店が多く、ワンストップで買い物できることからお客様から頼られていたことを実感でき、集客の好調さは緊急事態宣言が明けた夏にも続いた。大型施設でのワンストップによる買い回りの重要さを再認識しており、安全・安心な買い物環境が大切で、お客様1人当たりの購買単価も上がっている。お客様のEC(電子商取引)利用も増えている。

―― 業界首位の座を13年ぶりで奪還しました。この要因は。
 高家 「第2創業時代」と位置づけた2007年にSPA(製造小売り)化を宣言し、これを積み重ねてきたことの結実である。独自のPB商品比率は全商品の約40%にまで高まっており、デザイン性や機能性が評価され、グッドデザイン賞など数々の賞をいただいている。これによって競争力が高まっている。

―― 現在の店舗展開は。
 高家 全221店(8月末時点)を展開している。当社店舗は、1店当たりの規模が大きいため、業界他社と比べると、そう多い数ではない。
 東京中心部では用地確保がし難く、東京23区内は南砂町SUNAMO店のみで、東京都内には昭島店、青梅インター店、町田多摩境店がある。千葉県には幕張店、埼玉県には新座店、鶴ヶ島店などがある。神奈川県にある横浜いずみ野店は、唯一駅前に立地している。
 関東、関西、中部の大都市圏を主体に店舗展開しており、仙台市を除いた東北、広島市を除いた中国、四国、福岡市・熊本市を除いた九州などでの未出店地域はまだ多く残っている。

―― 新規出店について。
8月にオープンした羽生店
8月にオープンした羽生店
 高家 11月に埼玉県朝霞市で新たな1万m²級の新店を予定している。9月10日には愛知県で豊田四郷店、同月9日には神奈川県でフォルテ秦野店、8月26日には埼玉県で羽生店をオープンした。
 例年5~10店規模で新規出店を進めてきたが、今は大型店の出店は抑制している。一方、新業態の小型店は、どんどん出店するように社内で指示を出している。改装は、20年度は約25店の全面改装を予定している。開店してから6~7年経つと、最新の店舗フォーマットに合わせる必要が出てくるため全面改装や、リニューアルを施している。

―― 秋以降の消費下降が懸念されます。
 高家 国が8月に、4~6月期のGDPが大幅に落ち込んだことを公表し、国全体の経済の落ち込みの深刻さがうかがえる。そのため、当社では生活応援値下げ宣言をし、9月からおよそ7200品目の2割値下げ(品目により差がある)を実施している。値下げによって拡販を企図するのではなく、お客様の生活応援を目的としている。新型コロナの影響で衛生用品の絶対的な需要量はあるものの、それ以外では消費の冷え込みが厳しくなるだろうと予測している。比較的堅調だったHC産業も、秋以降は影響を免れ得ないと考える。

―― 中期経営計画を進めています。
「スパッと切れるラップケース」は2015年度グッドデザイン賞を受賞した
「スパッと切れるラップケース」は
2015年度グッドデザイン賞を受賞した
 高家 ベイシアから独立して30年目の19年からは「第3創業期」と位置づけており、「IT小売業」になって次のカインズを作ることをスローガンに掲げている。同年から中期経営計画を進めており、この中でStyle FactoryやC'z PROなどの新業態構想を掲げてきた。今のようにPB比率が伸び、収益が高い時に変革を仕掛けていく。20年度は新業態とデジタル施策を進めている。


(聞き手・編集長 松本顕介、笹倉聖一記者)
※商業施設新聞2365号(2020年10月6日)(1面)

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